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ほっかほかの馬糞


ニュージーランドの町をちょっと出たところを走っていると、 "Horse Manure $1.50/bag (馬糞1袋 1.50ドル)"という、ダンボールなんかに 子供が書きたくったような、そんなヒンソウなサインをよく目にします。
中には、そんな看板の下に、35〜40Lくらいの、 ドチっと重そうな米袋状の物体がテキトーに 置かれていたりもします。
この地には、まだまだ馬がそこら辺で飼われていて、 馬糞なんて話にしか聞いたこともないものが簡単に手に入るのです。
今回気まぐれで買ってみた雑誌にも"Practical Advice for Buying Horses"(馬購入のための実践的アドヴァイス)なんて コラムがあったくらいです。

気になる馬糞袋、どんな事になってるのか見てみたい。
でも、ニュージーランドの郊外は時速100キロの道です。
バフン看板発見、どうしよう(もうここら辺で問題地点を 通過)、ちょっと見てみたい、よし車止めてもらおう、と、 頭の中で電光石火の葛藤の後、「あ〜、車ぁ〜、止めて〜」と、 ノタノタと良人Ryuに声をかけた時には、気になる馬糞は遥か後方。
「あ、いいの、いいの、ちょっとね、バフンがね」と、あやしい素振りで ごまかし、そのまま通りすぎるのが常でした。

現在借りているのは、もともと車用(車庫)だったのを人間用に改築した 大家さんちの離れで、日当たり良好。
前に借りていた人は良人の同僚という願ってもない物件です。
バスタブも付いてるし。
でも、畑がないなぁ。
あるのはエントランス付近の3分の1畳ほどのコンテナのみ。

コンテナを整理して自分の苗を植え終えて、さて、 この辺に畑を作りたいって大家さんに言おうかな、どっしよーかな、と、 草ぼうぼうの東南の地面に熱い視線を送って数日。
「リオコ、畑、作りたかったらこの辺耕していいわよ。 でも、随分ほっといた地面だから、コンポストやら バフンやらいれないとダメだわね。」と、大家さん
バフン!!やります、やります!

と、いう事で晴れて馬糞袋公式購入権をゲット。
喜び勇んで、我々の愛すべき赤トラック・トントと伴に、 いざ近所のバフン売り場(と、私が呼ぶ農家のエントランス)へと 直行したのであった。

まだ「ウンチ話」を聞くとキーキー喜ぶ、そんないとけなき頃 (今でも嫌いじゃないけど)、母は昔語りに「馬糞は良い肥料になったから、 馬が道々してくのを、塵取り持って拾いに行ったよねー。え?牛糞?だめだめ、 ベチャーってゆるくって拾ったりできないの。やっぱりね、バフン、ほっかほかの」 なんて、話をしてくれました。
これがきっと馬糞への憧憬を育んだに違いない。
ナイロン繊維を織った袋から染み出したヂルが、 トントの荷台を多少湿らせはしたものの、 齢31歳にして、私はバフン袋2つを手に大満足したのでした。

バフンはやっぱり糞なので、そこそこ糞っぽい臭いはするものの、 人間のに比べたら、もう上品のなんのって。
早速、2畳ほど耕したそこに、約70Lのバフン、90Lのコンポストを、 大家さんから借りたフォークで鋤き込み水をかけ、多分やらなくっても いいだろうに、カンベン堪らず、次の日も、また次の日も繰り返し、繰り返し 鋤き込んだのでありました。

あー、なんだか馬糞2袋で大変充ちたりさせて頂きました。
因みにこちらには鍬(くわ)というシロモノがありません。
耕し方はフォーク(牧草のかたまりに突き刺して持ち上げたりする アレの家庭版)をブスっと入れてちょっとネジル。
始めのうちは「なんかクワじゃないと感じ出ないなぁ」とか 言っていましたが、最近フォークさばきもなかなか堂に入ってきたかな、 なーんて。



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