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夕食も終わって一息ついて、夜露の降りはじめた頃、 やおら懐中電灯片手に庭に出たる女1人。 身体中に闘志をみなぎらせ、目指すは、畑。 そうなんです、馬糞がいけなかったか、コンポストにつられてか、 もともとそこに住んでたヒトなのか存じませんが、 夜になるとイタイケな私の野菜に有象無象がたかるのです。 正に未来ある青少年の芽を齧る悪行三昧。 大きくなった暁には、ああして食べよう、こうして食べようと、 取らぬ狸の皮算用をしている私にとっては、食うか食われるかの 深刻な問題です。 代表は不良カタツムリ、ナメクジ。 ここニュージーランドは「ピアノレッスン」に出てきた 羊歯また羊歯の森でご推察頂けますように、朝夕は随分と湿っぽいんです。 昼はカラっとするんですが、そこでの抑圧がカタツムリ・ナメクジを あのように非道化させるんでしょうか。 レタスの苗など植えようものなら、鶉卵大の殻をしょったカタツムリが ワっと群れて、小さなレタスの葉っぱは満員御礼。 あ、重さで葉っぱが折れた・・・。 余りの多さに一瞬「ナメトール撒いちゃろかっ」(注:日本の対ナメクジ農薬。 ニュージーランドのはそんなに洒落た名前じゃありません)という欲望が 脳裏をかすめた事もございました。 しかし、家庭菜園のカタツムリ如きに農薬を使ったとあれば、 背中の桜吹雪が泣くってモンです。 じゃあ、どうしてるか。 先ず、カタツムリを片っ端から捕まえます。 じっとり湿ったピーク時ならば、1晩で2掴みは軽くいけます。 さて、その大量の虜囚をば、グシャッグシャッと踏みつぶし、 水を入れたバケツの中に放り込んだら、蓋をして、日当たりの良い所で2-3週間熟成。 さて、これなる「カタツムリ・スープ」畑に撒けば、あら不思議、もうカタツムリは 寄り付けない。 窒素・燐酸・カルシウム豊富なれば、ナチュラル肥料ともなって一石二鳥。 ひ〜ひっひ、試してみるかえ〜。 な、なーんて、ウソ。 これじゃあ、ホントに噂が立って魔女狩りされちゃう。 この「カタツムリ・スープ」実際にこっちの本('Natural Solutions' by French, Jackie)に載ってた方法なんですが、 インパクトが強すぎて虚弱な私はまだ試してません。 私は、カタツムリを捕まえたら、遠〜くに美しい放物線を描きつつ、 投げ捨ててます。 そう、それだけ。 でも、朝になると、一部破損されたカタツムリの殻だけが、 ころころと発見されるのです。 へへへー、私にはヘッジホッグ(はりねずみ)という強ーい味方があったのだー。 英国人が移民して来たときに、一緒に連れて来たんでしょうね、このヘッジホッグ。 ニュージーランドは元は哺乳類の居ない国だったから。 なんで連れて来たのかなぁ。 可愛いからかなぁ、ノタノタしてて、ビックリすると固まるし、 ホントに可愛いもんなぁ。 英国系の人は「幸福のマスコット」って言って結構大事にしているし。 でも、もしかしたら、ヘッジホッグってカタツムリが好物の、 人にとっては益獣だから連れてこられたのかもしれないです。 このフラットにも、成獣・幼獣各種取り揃えてたっぷり在庫しているので、 彼等のお散歩道にカタツムリを投げておけば、 「とんで火に入るナントヤラ」って訳です。 次点の鼻の長い小豆大の甲虫も、大勢さんでご来店下さっては、 飽食の限りを尽くされまして。 これは悪意の固まりのような虫で、大事な成長点をポリポリポリポリ。 ぐぐぐぅぅ、ゆ、許ッさん。 と、まあ、これまた随分大勢さん、私のビーサンに踏みつぶされましたなぁ。 娘の頃は、Petzelのヘッドランプ、馬手に割り箸、弓手にジャム瓶という 凛々しいイデタチで、実家のこれまたちびっちゃい菜園の夜のパトロールをしていました。 これ、ヨトウムシ退治でして、箸で突つくか挟むかして瓶にヨトウムシを落す。 で、瓶から足元に虫を出して、ゾクゾクしながら長靴で踏みつぶす。 ヨトウムシは、大きいのだと小指くらいあるので、踏みつぶし応えがかなりあったのを 覚えています。 なんで瓶を経由するかと言えば、お箸の間でヨトウムシが暴れてビチビチするのが 怖かったんですね。当時は。 ああ、繊細だった遠い日よ。 |