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ズボラな私にも、どうしてもその存在が許せない臭いがあります。 それは「乾きこじれ」た「クサレTシャツ」や「クサレタオル」あれらから強烈に発せらるる臭気。 一般的には「雑巾臭い」とも称される、あの臭い。 どうしてあんなに存在感があるのでしょう。 例えば梅雨時のスーパーで、「あ、あの臭いが居る!!!」。 よしときゃいいのに、どこから臭いが来るのかどうしても つき止めない訳にはいかない因果な性分。 でも大抵それは学生アルバイトのお兄さんの制服の下に着たTシャツが 源だったりして、その度に「ひなびたアパート、乾かない洗濯、つましい生活」の情景が 脳裏を駆け巡り、目頭を熱くするのです。 独身貴族時代の良人Ryuは、風呂なし、日当たり風通し伴に不良の古アパートで、 「ひなび」も「つましい」もかなりの高レベルな暮らしぶりをしておりました。 私もその穴蔵・・・モトイ隠れ家のようなスペースが結構気に入っていて、 彼の居ない時でも一人で忍び込んでは、コタツで薄めのインスタントコーヒー、 マンガは「大東京ビンボー生活マニュアル」(前川つかさ)という念の入れようで、 随分とご機嫌で楽しんでおりました。 そんな気の向いた時だけチラっと立ち寄る野良猫ちゃん状態でも、 Ryuに1つだけお願いをした事がありました。 「台布巾を絞ったままの形でタクアンみたいに放置しておくのだけはヤメテ〜」 「クサレ台布巾」の臭いが気になって、せっかくの穴蔵をエンジョイできない。 「私、あの臭いだけは勘弁堪らんのよ」というと、「へーほんとぉ?オレ 学生の頃いつもあの臭いのシャツ着てたじゃん」・・・・ 学生寮で洗濯機から洗濯を塊のまま取り出すと、そのままスーパーの 買い物カゴ(なんでそんなものがある・・・)に放り込んで、部屋に放置、 外側の干からびたモノから順に着ていたらしい。 ヤダっヤダっ男子寮、あの独特の臭いはそういうものから構成されているのね。 いくら粘性の高い「今日のはチョット自分でも・・・」という オナラと云えども数分の後には胡散霧消してしまうものですが、 「クサレ布」の臭いというのはシツコイもので、ちょっとや そっとでは消えないし、隠れもしない。 あれは衣類に増殖した細菌の出す臭いだそうでして、いくら洗濯しようとも、 その上どんなに洗剤を濃くして、 どんなに天気の良い日に干そうとも、なおかつ酸素系漂白剤に浸けようとも、 1度「クサレ癖」のついたものは、湿り気が与えられたとたんにまた臭い出します。 あれは、結局アイロンをあてるか、熱湯攻めにするしかないようです。 でも、例えば折角ふかっと乾いたバスタオル・・・アイロンで固めたくないし、 かと言ってバスタオル熱湯につけるっていっても、ジェンナーじゃあるまいし、 そりゃ大変過ぎ・・・うううう、でも我慢できない。 それから、アイロンあてられなさそうな化繊でもクサレることがありまして。 例えばネオプレインのリストバンドとか、ウエイトトレーニング用のギックリ防止ベルトとか。 なんだかオトコっぽいものばかりだなぁ。 オトコクサイってこの臭いの事なのだろうか・・・。 ニュージーランドは常春の国とよく謂われます。 確かになんとなくいっつもだらだら〜っと暖かい。 どんなに踏ん張っても、哲学者とグレートなヘビメタバンドだけは輩出できない、そんな気候です。 日本のように酷暑や猛暑、六甲オロシやカラっ風、極寒、大雪そんなふうに 四季折々の過激な変化はありません。 しかしながら、緯度は日本より少し極寄りでして、ここサニーネルソンは 非常にざっとですが、函館くらいの位置。 さて、そこで冬場のお洗濯。 気温はまあ冬ですし、これくらいあれば良しとしましょう。 して、問題は日照時間。 夏はすごいんです、6時前には日が出て、夜9時過ぎまで明るい。 でも冬はそのツケが回ってきて、日の出は8時、日の入5時。 しかも私はネボスケなので、洗濯が干せるのは成績の良い日で朝10時。 日差しはあくまでも低く、ちょっとでも大きな木があったりすると すぐ陰っちゃう。 やっぱり大物、木綿は乾きません。 こじれて、やっぱりあの臭いが出てきます。 さて、あの臭いに対峙した時、洗濯洗剤の濃度を上げたり、漂白剤を入れてみたり するのは人情でしょう。 でも、結果はいつも同じ、効かないのです。 その上、洗剤の匂いがキツク付いたり、濯ぎ足りなかったり 往々にして良いことはありませんでした。 しみったれの私のことですから、普段の洗濯にパッケージに書いてある通りの 量を正直に入れている筈も無く、「クサレ」の原因はそこにあるのかと 疑った事もありましたが、そう言えば昔しっかり洗剤入れて洗濯していた時も あの臭いは出るときは出たし。 そこで気が付いたのです。 私が洗濯でやりたい事と、売ってる洗剤が得意とする事がどうも食い違っているらしい事を。 私が先ずしたいのは、ある程度の除菌、蛋白や油の汚れがまあまあ取れれば良い。 そもそも我々の衣類は、寝ぼけたような色が多く、「色柄ハッキリ」「マッシロ」 は洗剤に求めていない項目なのです。 オマケに汚れと言っても、新陳代謝もだいぶ衰えてきた夫婦2人所帯で、 ドロ汚れも、タフな油汚れにも、そうそう縁がない。 取って付けたようなキツイ匂いはイヤだし、必要以上のフワフワ感もシャキッと感も別にいらない。 一方市販の「酵素」が入っていたりイロイロする洗濯洗剤は、先ず汚れを落すのが 第1目標のようです。 ガンコな汚れに効くヤツ。 それから水に溶け易く、脱水した時に水が繊維から抜け易くしてあったり、 乾いた時にふんわりしたり、1度水に溶け出た汚れが再度繊維に付着し難くしてあったり、 本当に、高度に進化しているのです。 で、香りもそれぞれ、「森の香り」とか「フローラルの優しい香り」とか 凝っている。 何しろ、1番大事なのは洗濯機に洗濯物を放り込んで、洗剤入れたら「ハイおしまい」で済む事。 つまみ洗いやちょっと洗濯ブラシで擦るとか、そういう一手間をかけないで いいんですよー、そういうのは「酵素」君がやりますからねー。 これが最大の売り文句ではないでしょうか。 それでも、気になるところはチョコッと何かしていませんか? ヨゴレの首輪の部分は、ちょっと濡らして固形の洗濯石鹸を 付けて、ちょっと擦ってから洗濯機に入れるとか。 やっぱり酵素君だけじゃ心もとないんですもん。 私の方が物理的な力はあるし。 そこで、ん?と思いました。 石鹸で、随分落ちるもんだなぁ・・・。 あ、そう言えば前テレビで備長炭入りの水にちょっとだけお塩入れて 洗濯している人、やってたなぁ。 なんだか、固い水をこう備長炭で和らげて繊維の奥まで入り込めるようにしたら かなり汚れがおちるそうで。 ふ〜ん、水を和らげるか・・・。 日本では私は見た事がないのですが、こちらでは「洗濯ソーダ」なるものが 売られています。 見た目は氷砂糖のような結晶状のもので、何者かと申しますと、 sodium carbonate(炭酸ナトリウム)の水和物なんだそうでして、 水を軟化させるのに使います。 伝統に則ってお洗濯を致しますと、洗濯ソーダで軟化させた水で 石鹸をチョコチョコっとつけて洗い、濯ぐのだそうで、 水がそれこそ柔らかくなってますから、繊維に入りやすく、 石鹸も少しで力を発揮できるという仕掛けです。 因みに環境性を考えてみますと、carbonateを重ねてsodium bicarbonateにしますと、 ご存知重曹になります。 かなり大丈夫そうです。 これ行ってみよーと、早速ジッケン。 しかし、やっぱり水だと溶け難いのです、洗濯ソーダも石鹸も。 粉石けん買えばいいのでしょうが、大きい洗濯石鹸があるもので、 それをチーズオロシなんかでおろして使ったりすると、 おが屑のような溶け残りが付着した洗濯物ができあがってしまう。 暫し頓挫の約半年後、気になる洗濯石鹸レシピを発見しました。 石鹸のフレークをお湯に溶き、洗濯ソーダを加え、荒熱が取れたところで ユーカリオイルを加えるというもの。 ユーカリオイルはスーパーや薬局などで100mlや50mlの 'POISON'とレリーフになった瓶に入って数ドルで売られている非常に安価な素材です。 「皮膚にそのままつけて筋肉痛や虫刺されに、またカーペットや衣類の 染み抜き、ウール物の洗濯、シール剥がしに」なんてパッケージに 書かれているので、アロマセラピー用の精油とはどうも異なるようです。 値段もぜんぜん違いますし、皮膚につけた感じも「精油が直に付いてしまったー」 というよりは、タイガーバームを塗ったという方が近いような感じ。 なにしろ南半球の「主婦の知恵」的アイテムのようです。 ユーカリと言えば、「殺菌」。 「もしかしたら、あの「乾きこじれ」の臭いも撃退できるかもしれない!」 私、猛烈に期待しています。 さて、レシピは、 2カップの熱湯に1カップの石鹸フレークを溶かし、溶けたら1カップの洗濯ソーダを 加え、よくよく混ぜて荒熱が取れたら大さじ1のユーカリオイルを加え混ぜ込む。 と、いった簡単なもので、できるのは半固形状の練り石鹸。 なるほど、1度溶かしてしまったものは、再度溶けるのも容易になるものらしく、 ぬるま湯では2分位、水では3分位洗濯機を回しているとちゃんと溶けてくれます。 さて、1回の使用量なのですが、全自動の洗濯機、中の水位で大さじ2杯程。 この匙加減は普通の「大さじ15cc」「小さじ5cc」の大さじでして、 洗濯洗剤の巨大計量スプーンではありません。 先ず、予洗いを2分、石鹸を入れて普通に回して、5分ほど浸け置き、再度回します。 これは、ちょっと石鹸が溶けるのに手間取るのをカバーするのと、ユーカリが活躍する時間を 少し長めに設ける為の策です。 で、後は普通に脱水、濯ぎ、脱水でお仕舞い。 気になる部分には、チョット濡らしてからその部分に石鹸をニュルっとつけ 少し揉んでから洗濯機へ。 さて、汚れ落ちは、「はい、お洗濯できました、キレイになりました」と 私が思えるくらいには落ちます。 そもそも色ガラくっきりとかマッシロシロとかは気にしていないので、 「生活の普通の汚れ位は落ちてるようです」と表現したら良いかなぁ。 気に入っているのは、脱水漕から出した時、変にスカっと水が切れていない所と、 お仕着せの香料の匂いが付かない所。 普通の洗剤で洗った洗濯物を干していると、指先の皮膚にペタペタとした 違和感があるのですが、 あれは私の使っている少ない量でもちゃんと濯げていないという事か、 若しくは脱水の後カラッとさせるあの工夫のせいなのか・・・、 石鹸に変えるとそれはなくなります。 脱水後の湿り気に顕著な違いが見られるのに、不思議な話なのですが、 合成洗剤で洗っても石鹸で洗っても、乾く時間が違ってくるようには感じられないのです。 洗剤会社の提示するしっかり計った「乾燥時間」よりも、 私は自身の肌感覚の方を我が生活においては重視しているので、 この結果は面白いものでした。 練り石鹸から漂っていた強烈なユーカリの匂いは乾燥すると揮発してなくなり、 後にそこはかとなく残るのは石鹸の香りだけ。 実は市販の洗剤で洗った物をたたんでいると、指先に 粉っぽいというか、またもや違和感があるのですが、 石鹸で洗ったものを幾らたたんでも、それもなし。 タオルや布巾の吸水性も非常に良く、使い心地も爽やか。 そしてそして、あの「乾きこじれ」たクサレバスタオルが、 普通のタオルに戻ってくれます。 実は、3日も天気が悪かったりして、タオルがしっかり乾かない日が 数日続くと、元の木阿弥、また ワーンと臭いが出てくるので、あの細菌が根絶された訳では無いようです。 でも、普通の洗剤で洗えば、お風呂で使って、即、その日に臭いが出ますから 殺菌力を言えば、ユーカリ練り石鹸の方が贔屓目無しで言っても実力が随分上のようです。 私にはコレくらいの「テキトー」な殺菌力が丁度いいようです。 このインターバルなら又洗っても惜しくないし。 「白い衣類はいつまでも真っ白」「色柄は退色もせずくっきり」 「洗剤は入れるだけで、頑固な汚れもすっきり」・・・・これ当り前みたいに 言われているけれど、私には日本昔話で見た「姥捨て山」を思い出させるのです。 年のいった母親をお山に捨てられなかった孝行息子の住む国に、隣国が無理難題を押し付けて それが解けなければ侵攻すると嚇す。 その無理難題というのが「灰でなった縄を出せ」とか「叩かぬのに鳴る太鼓を持て」とか、そういうの。 で、件のお婆さんが陰ながら息子に知恵を授けて、確か・・藁縄をきつくなったら濃い塩水につけて 焼くと崩れずに「灰の縄」が出来て、太鼓の中にクマンバチを仕込んだりするんだったなぁ・・・ で、国難を免れ、年寄りは大切にせねばのう・・・ってなる話。 洗剤の謳い文句って、この話の無理難題に似ておりませんかな? 白いものはそのうち何となく黄ばむものでしょう。 色柄だって、日に干していればそのうち徐々に退色します。 頑固な汚れは手で少しケアすればいい。 この自然の摂理に添わない要望を満たす為に、洗剤の中に何が混入されているのか、 何を代償に払わなくてはならないのか、私にはこっちの「見えない借財」の 方が怖い。 婆様の知恵はエコだったけれど、企業の知恵は複雑怪奇。 洗濯物を白くするためだったら魂も売りかねない。 天気の良い日は「洗濯するかぁ」とモソモソ起き出し、 雨の日は「雨の音ってたまらないー」と益々寝坊する。 紫外線が強いからせめて洗濯物は裏っかえしに干そう。 タオルはフカっとなるように、なるべく振るってパイルを立ててから 干してっと。 ちょっと手で揉んでおいたら汚れがキレイにとれたなぁ。 こんなチョットした嬉しさが私の暮らしのエネルギーなのです。 確かに、洗濯板で毎日コシコシ、手で絞ってシズクの滴るのを干す状態に 戻るのは私には無理です。 洗濯機の便利さは、他に色んな事ができる時間をくれています。 ただ、この便利さもある程度自分の力が介入できるようになっていないと、 面白くない。 ある意味、贅沢な話ですが、テキトーに便利、テキトーに不便、私はコレが好きだし、コレが幸せの元なのです。 どんな洗濯がしたいか、どんな洗剤が欲しいか? 洗剤会社のコマーシャルの宣伝文句が別に模範的な洗濯なのではなく、 色んな価値観、方法があっても良いのではないかなぁと思います。 |