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ハーブのお師匠様


ニュージーランドに来て驚いたのは、まあ皆さん、よくもこの見知らぬ東洋人に 自分の友達やら、知り合いやらを紹介してくれるなぁという事でした。
確かに我々の方も「あれをしてみたいんだが、コレコレで調べても埒があかない。 どうしたら良いか?」と、訊いたりしているんですが、「あ、それだったら、 私の友達に電話して御覧なさい」と、名前、住所、電話番号を教えてくれる。
個人情報ダダ漏り・・・。
巨大都市トーキョーから来たニッポンジンはそれはそれはビックリしたのです。

思えば、ここニュージーランドは移民の地。
人との繋がりが、新しい地で生きていく上で非常に重要であったのは 想像に易く、それが今でもネルソン辺りの、のんびりした地域には 息づいているのでしょう。

「国民の歴史」(産経新聞社)によると、701年の大宝律令の頃、 日本の推定人口560万人。
一方2000年のニュージーランドの総人口380万人。
わははははは〜。
まだまだ、人口密度ウッスラでございますなぁ。

さて、ハーブを使った健康法や、ハーブの栽培、クラフトに興味がある場合、 地元のハーバリストはどうやって探したら良いか。
イエローページにはHerbalistなんて項目はなし、ユースホステルのスタッフって 言ったって、皆が皆ナチュラリストとは限らず、知ってる人に出会えたら、 大変な幸運です。
当時何も知らぬまま、本能の趣くままに試してみて大正解だったのは、 地元の「オーガニックショップ」で訊く。
これでした。
オーガニックショップは地元のこの手の情報が集結し、フリーマーケットや イエローページで調べがつかないコアな人(ナチュラル系)にアクセスが付けられます。

ハーバリストは「ハーバリストでーす」と自称しているだけでは、 もちろん食べてはいけませんので、なんかかんか手作りしています。
例えば自作「フラワーレメディ」、自作「万能軟膏」などなど。
そういうものをオーガニックショップやヘルスフードショップで売ってもらう訳ですが、 ヘルスフードショップより、オーガニックショップの方が、 この地方ではよりディープ、土着度はだんぜん高い。
ヘルスフードの方は地元ハーバリスト以外にも、大手健康食品会社の営業さんとも 話をしなくちゃなんないから、意識が拡散しちゃうんでしょうね。

さて、このお師匠様、実はネルソン地域のハーブ協会の会長もなさっていて、 白髪のショートヘアも神々しい、明朗快活を体現してみました〜てな感じの 元気で陽気な熟年女性。
先ずは、彼女の庭。
別に広大な訳ではなく、町中の普通の家の庭を全面オーガニック ハーブ園にしたもので、かえってなんだか衝撃的でした。
非常に身近な「健やかさ」で、「そうだなぁ、健やかさなんて、 特別なもんじゃないんだよねぇ」って事を思い出させてくれるのです。
フカフカの真っ黒の土(ビューティフルなバフンを知り合いから分けてもらっているそう)に、 おがくずを敷いた小道(もちろん裸足で歩く)。
適所に適材が植えられて、お師匠様のお人柄そのままに、ドカーンと豪快に育っている。
それでもって、お手製の「エルダーフラワーのシャンペン」。
因みにニュージーランドは「酒税法」なんて珍妙なる法律はないので、 シャンペンもワインもビールもお好みのアルコール度で作りたい放題です。
「密造」なんてアンニュイな感覚が味わえなくて寂しいくらい。

お師匠様と、その妹さんは年に数回ハーブのクラスを開講していて、 ハーブの名前、見分け方から、いろんな食べ方、薬用・美容目的の使い方、 種本、色々教えて下さいました。

毎回、庭から摘んできたハーブが教材になるので、それを頂けるのも 楽しみの1つでした。
何しろ新鮮で猛烈元気なので、すぐ根っこが出るんです。
我が家のペニーロイヤル、マーシュマロー、ナツメグゼラニウム、 ネトル、斑入りマージョラムなんかは、元を正せば、 師匠んトコの5センチにも満たない教材でした。

ネトルで「ん?」と、思った方はかなりの粋人。
そう、これ又の名を「西洋イラクサ」。
ちょっと気を抜くと蟻酸入りのトゲで刺されて、その日1日ヒリヒリが治まらない、 どうしようもない困り者の「雑草=Weed」の代表格です。

当時の大家さんが良い顔をしなかったのは当然で、 私は大事に育てているネトルを引っこ抜かれないように、 学名入りのプレートを苗の近くに刺したりして、 それは苦労しました。

な〜んで、そんなモンが教材か、というと、このお師匠様、雑草の力に特に 注目しているハーバリストでして。
雑草は食べられるものも多いのですが、人間が文明を持ってからというもの 作物としては扱われず、かえって「作物の栄養を奪う敵」と見なされてきました。
と、いう訳で、雑草は、「人間の味覚にあわせて」の品種改良や、ましてや 遺伝子操作なんてされていませんから、その種本来の力を持ち続けている。
栄養も、薬効もしっかり残っている。
それでそんな雑草を食べたり、チンキや浸出油にして飲んだり、皮膚に塗ったり するんです。

実はちょっと前から「摘んで野草クッキング」(金田初代 創森社)を見て、 「雑草食」、実家の母をして「拾い食い」と云わせしめるジッケンを し始めていたので、お師匠様のこの教えは、正に有り難くも 目の覚めるものでありました。

そこら辺に生えている植物で、どれが美味しくて、どれが毒、こんな体調の時は これがいい、なんて、きっと我々の祖母のジェネレーションまでは、 みんな常識、わざわざ教え聞かすまでもなく知っていた事だったんでしょう。
それが敗戦のせいだったのか、科学偏重になったためか、 はたまた資本主義に走ったためか分かりませんが、 親の世代を挟んで、それは全く失われてしまった。

里山文化の発達していた美しきニッポン。
その知恵はどれだけ膨大かつ素晴らしい物だったかは、今になっては 想像もつきません。
スベリヒユのお浸しや、スギナのキンピラを美味しく頂く度に、 失われた先人の常識の復活を思って止みませんでした。
それが、それが、こんな南半球の国で青い目のお師匠様に出会えようとは。

折角の教え、私だけが握り締めていては、すぐに途絶えてしまいましょう。
でも、このご時世には、コムピュータァという、強い味方があったのだ。
と、云う訳で、お師匠様の方法、本からの情報、日本の料理法、 自分のジッケンなどを渾然一体とさせて、 ちょこちょこ書いていきます。
健康系はここの「健」の項、食べる方は「食」、クラフト系は「楽」をご参照下さい。
すいまっせん、分散させてしまいまして。
・・・・分類悩んだんですけど、すでに破綻してるなぁ・・・・



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