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書斎での独白 ――― Ryu H. Takahashi
● タイトル
11月分同様、山陽新聞社以外の掲載分に関しては、現在のところどういうタイトルがついたのかは、私のもとには情報が入ってきていない。
最初の頃はタイトルにも頭をひねっていたものの、この時点では掲載先の新聞社の方で、それぞれ別のタイトルをつけてしまうことが分かっていたため、今回はタイトルなしにしようかな、とも考えた。
でもまぁ一応書いておくか、という程度のいいかげんな気分でつけた投げやりな原題が『ニュージーランドのアウトドア』。
・・・。よくもここまで工夫のないタイトルをつけたものだと、我ながら感動する。
天才かも知れない、オレって(笑)
《追記 (2002年12月19日)》
いくつか掲載紙を入手したので、タイトルをご紹介しよう。
『アウトドア超大国・NZ』 (熊本日日新聞 夕刊 12月10日号)
『アウトドア大国NZ 生活に溶け込んだ遊び』 (南日本新聞 夕刊 12月13日号)
私のつけた原題は完全に無視され、どれも同じようなネーミング・・・。
しかも、第1回同様、これだけ似たようなフレーズが並びつつ、ずばり同じにならないのが不思議・・・。
● 文章術
前回、せっかく帰国しているのだからと、今まで見向きもしなかった新聞コラムに目を通したり、小説をなめるように読むようになったと書いた。第2回分の原稿を提出し終え、この原稿に着手してからは、今まで一度も読んだことのなかった「文章術」のハウトゥ本などにも目を通してみた。
特に亡き義父の書斎で見つけた『ビジネス文章論』(扇谷正造 講談社現代新書)は、元新聞記者の方がお書きになっただけに、やはり大変タメになった。
前回、新聞嫌いと告白したが、やっぱり長年トレーニングを積んだ一級新聞マンのノウハウっていうのは、スゴイ!さすがプロ、である。
例えばその本の中にはこんなことが書いてあった。
A氏がきいた。
「最近黒字倒産という言葉をよくきくが、あれはどういう意味だ?」
「会社は黒字だが、資産整理などの理由で、便宜的にやる倒産でしょう」
「ヘェ、のんきなトウサンだね」
それをきいて一同、一瞬気を飲まれたが、ハッと気づいたとたん、笑い転げた。
長いので私が要約した。
そもそも、その例文が説明しようとしているのは別のことだったのだが、章末に補足的に説明されていたことに、私は頭を殴られたようなショックをうけた。
文中で太字にしたのは、すべて『きく』という言葉。
私は今まで、必ず『聞く=hear』『聴く=listen』『訊く=ask』の3つをキチンと使い分けるように心がけていた。
この例でいえば、3つの『きく』は『訊』『聞』『聴』の順で対応するわけだ。
「すみません、ちょっとお聞きしますが、駅はこっちでよろしいでしょうか?」
などという誤用を見るたびに
「バカめ、それをいうなら『ちょっとお訊きしますが』だろうが!」
などと、1人悦に入っていたものだった。
おそらく、このサイト内の過去の文章にも、こうした使い分けが見つけられるのではないかと思う。
しかし!著者によれば、こういう短文の中で3つの漢字を使い分けるのは、かえって好ましくないのだそうだ。
読みやすい文章を心がけるならば、すべて『きく』と、ひらがなで統一するのが正解だという。
なぁるほど、言われてみれば、まったくおっしゃる通り。
上記の文中の「きく」を、すべてひらがなで書いたからといって、意味をとり違える人は、まずいない。
ならば、漢字よりかなの方がよりとっつきやすく、理解しやすい、ということになる。
自分は、ただ自分の漢字知識をひけらかしていただけに過ぎなかったようだ。
これに限らず、本当にヒントの多い本だった。
いかに未熟なままに今回の連載を引き受けたかを思い知らされ、身の縮む思いでいっぱいだった。
文章上でのサーヴィス技術は、まだシーカヤックガイドとしてのそれには、遠く及ばないようだ。
やれやれ、道は遠い・・・。
現在は、さらに別の角度から修行しなおすため、コピーライティングの教本を入手して読み漁っている最中。
ここでも、ウロコがボロボロと落ちる。落ちる。ドンドン落ちる。
私の目には、いったいどれくらいウロコがたまっているのだ???
● 例と用語
今回のトピックは、ご覧の通り、知られざるアウトドア超先進国のNZの紹介、および、日本との比較。
紹介や比較をするからには、例をどれだけあげられるかが勝負になる。
理解しやすい文、面白い文、どちらにしても例がないと成立しない。
そろそろこの字数にもなれてきていたので、「この程度は例をあげられるな」と目算してから取りかかった、「比較的楽勝なトピック」のはずだった。
ところが、書き始めてから苦しんだのが、アウトドア専門用語。
前回もカヌーとカヤックの違いの取り扱いに悩んだが、今回はその比ではなかった。
「ピークハント」を「頂上を目指すピークハント」にしたり、一般の読者にわかる表現を心がけたつもりだったが、チェックをお願いした義母からは
「『山頂を巻く』『スラローム』『ロデオ』などがわからない」
と指摘を受けてしまった。
スラローム、ロデオは、自分でもある程度予測がついていたのだが、「巻く」というのが山用語だったとは迂闊だった。
あわてて上記のように「山頂を避ける」という表現に直した次第だ。
しかし、困ったのがスラロームやロデオ。
「頂上を目指すピークハント」のように、文中で説明するスペースはない。
結局、最初は「シーカヤック派、ロデオ派、スラローム派、フォールディング・カヤックを使ったのんびり川下り派」と書いていた部分を、説明不要の「シーカヤック派、カナディアンカヌー派」に直し、どうしても代わりのきかない「ロデオ艇で海をキャンプツーリング」という部分は「川のスポーツ用のはずの」という説明文を入れて、なんとかしのいだ。
しかしながら、ロデオ艇やスラローム艇やカナディアンカヌーで海をキャンプツーリングする人々を見かける驚きが、一般の方に伝わったとは、とうてい思えない。
結局こうした言い回しに引きずられて、扱える例の数も減ってしまったし。
改めて専門用語の扱いの難しさ、特定のマイナーな趣味の世界を一般紙で扱うことのムズカシさを痛感した回だった。
というよりも、やっぱりトピックを絞りきれてなかったのかもしれないなぁ、今にして思えば・・・。
● 漏れた例
じゃ、字数の関係で削ってしまった例を含めて、少し面白いものをこのWeb版であげておくことにしよう。
○ カッパの違い
NZで雨の日に出かけると、雨具の好みが日本と全然違うことに気づく。
こちらの人間は、街中でも傘よりもレインパーカの類を好む。
そのかわり、レインパンツはアウトドアでさえほとんど使わない。
上半身だけ水から守ろうとするのだ。
最近は自分自身もそういう傾向になってきた。
空模様が怪しいときは、カッパの上着だけをつかんで外出。
傘はどこへしまいこんだんだろう?
○ 海でみかける「カヌー」のあれこれ
記事内ではロデオ艇で海をキャンプツーリングする例だけをあげたが、実際に過去に目にしたものをあげれば
・シーカヤックタンデム艇3艇を率いてキャンプツーリングしているリーダー艇が、なんとデッキ上にドライバッグを満載したスラローム艇だった!
・シーカヤックとロデオ艇が、なかよくカップルでキャンプツーリング。どう考えてもスピードが倍ほど違うと思うのだが、どうやればあれだけ性能の違う艇で、素人さん同士が「なかよく」遊べるのだろう???すぐケンカになりそう・・・。
・シーカヤックが、後ろにサーフボードを牽引しつつツーリング。エイベル・タズマン国立公園のどこでサーフィンが出来るの!良いポイントがあるんなら、私にも教えて!(笑) っていうか、荒れるおまじないみたいで不吉なので、お願いだからやめて(^_^;
・カナディアンカヌー10艇の大船団が、荷物満載で荒れ狂う岬に突進しようとするところとすれちがった。その後、事故の報告はなかったので、乗り切ったのだろう。信じ難い・・・。
・カナディアンカヌーを2艇横に並べて固定したカタマランによる大船団のキャンプツアーは、近所の高校の名物。
・かなり荒れている日、国立公園中央部でフラットウォーターレーシング艇2艇のツーリング風景を目撃。
どう考えても、フラットウォーターレーサーで漕ぎ出せるような艇でコンディションではなかったのだが、あれで15km以上も漕いできたのか、あのコンディションの中・・・???
・どこからやってきたのか、これまた国立公園中央部で、ウェイヴスキーに乗った小学生を目撃! ホントどこから来たんだよ、お前!!!!
・私のグループが3日ツアーに出発しようとしていたとき、同じビーチで手作りイカダで出発準備をしている男がいた。
2日後に彼とすれちがったのは、出発ビーチからわずか5kmの地点・・・。
3日目になっても、まだそんな距離かい!そのままさらに北上するということは、さらにあと3泊以上する気かぃ!(笑)
う〜ん、あれより北は、キャンプ場同士、ビーチ同士が結構はなれているところがあるんだけど、どうやったんだろ???
えぇ〜っと、こんなものだったかなぁ???最初の頃はいちいち驚いたけど、最近は別段なんとも思わなくなっているので、ひょっとしたら、忘れているもっと珍しいパドラーがいたかもしれない。
とにかく、ウェイヴスキーやイカダの例で分かる通り、いちいち覚えていると安否が気になって夜も眠れないような「非常識」な物体によく出会ってしまうのだ。
ロデオ艇やスラ艇、フラットウォーターレーサーやカナディアンなんてのは、荷物満載でツーリングしててもまったく驚くにあたらないエリアである。
たぶん、日本だけじゃなくて、他の国ではほとんどお目にかかれない風景ではないか、と・・・。
○ 短パン
NZの場合、アウトドアに出るときは圧倒的に短パンが大人気。
真冬に雪山登るのだって、天候が安定していれば短パンにスパッツ、ってのが定番。
確かに、長ズボンで濡れるのと、短パンで足が濡れるのとでは、後者の方がはるかに不快度は低い。
そもそも軽快で気持ちいいので、慣れると長ズボンはくのが鬱陶しい。
上の雨具との関連でいえば、日本人はとにかく1滴でも濡れるのを嫌う傾向があるみたい(アメリカ人にもこの傾向はあるなぁ)。
それに対して、キウィはボディコアの体温が維持できれば、逆に濡れたり裸足で土の感触を楽しんだり、という自然とのダイレクトな接触を楽しんでいるような気がする。
だから、肌の露出が多い。
ニブイ、という有力な説もあるが・・・。
余談だが、一時帰国していた2001年の秋、私は11月いっぱいずっと「Tシャツ+短パン+裸足にスポーツサンダル」というキウィスタイルで過ごした。思った以上に日本の秋は暖かく、私にとってはこれで十分だったのだが、もちろんすれちがう人々は、皆コートやマフラーをまとっており、私の姿に気づくとサッと避けて道を開けてくれていた。
なんてガイジンに親切な国なんだ!と、感激した(笑)
もっと他の例もあげようと思っていたはずだけど、忘れてしまった(^_^;
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