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書斎での独白 ――― Ryu H. Takahashi
● やっと
オリンピックの記事に押しやられてしまって、山陽新聞に掲載されなかったため、しばらく欠番となっていたこの『第5回』だが、やっとWeb上に登場。
大変お待たせして申しわけありませんでした。
え?待ってない?そ、そうでしたか・・・。
ま、それはともかく、連載終了後に共同通信社の担当者が、「出来る限り」掲載された新聞をかき集めて送って下さったので、その中からこの第5回分が掲載されたものを選んで、ここにアップさせていただいた。
ちなみに上には高知新聞の名前を挙げさせていただいたが、他にも手元には南日本新聞と北日本新聞もあることを付け加えておく。
● タイトル
なぜ3紙の中で高知新聞を代表に選ばせていただいたかといえば、私がつけておいたタイトルとほぼ同じだったから。
原題は『ニュージーランドのアウトドアショップ』。
ほぼ同じである。
ちなみに他紙は
『NZでは実用道具だけ』 (南日本新聞 夕刊 2月28日号)
『NZアウトドア店事情』 (北日本新聞 夕刊 2月15日号)
北日本新聞のタイトルに関しては、「面白いな」と感じたので、ちょっと記しておこうか。
第2回で書いた通り、第2回と第3回ではNZのスポーツ事情を取り上げるつもりで、共同通信社の担当者にはタイトルと概要を最初にお伝えした。
そのときに、
「『〇〇事情』というタイトルは堅苦しく感じるので、使わない方がいいですね」
というアドヴァイスを頂いたのだ。
それが新聞各社の常識なんだろうと納得したので、今回のこの北日本新聞のタイトルを見て、「おや?」と感じた次第。
● トピック
このコラムの脱稿は、今年(2002年)の1月10日。
なにぶん古い話なので、どういういきさつでこのトピックを書くことにしたのかまったく思い出せないのだが、当初の執筆計画にも、途中の修正執筆計画にも、このトピックはなかったのは確かだ。
う〜ん、なんでこんなトピックが急に飛び出したのだろう???
連載後期は比較的字数にも苦しまずにすんだことは、他の回に書き連ねているとおりだが、字数はともかくこの回は細かい言い回しなどにかなり苦しんだ覚えがある。
自分で選んでおきながら、かなり扱いづらいトピックだったはずだ。
案の定、今回原稿と掲載分を見比べてみると、6回分の中で一番添削された箇所が多かった。
テーマとしてはなかなか面白いんだから、もう少しなんとかしたかったな。
● 補足「NZのアウトドアショップ事情」
第4回同様、コラムに書ききれなかったことを、『パドルの向くまま、気の向くまま』風に補足してみることにしよう。
まず、「見た目が貧弱な店」という点について。
NZはそもそも人口が400万人にも満たない小さな国(横浜市よりも小さいくらい!)なので、経済だってもちろんそれなりのレヴェル。
つまり、いくらアウトドア超大国だとはいえ、アウトドアグッズの豊富さで言えば、日本にはまったく敵わない。
例えば、アウトドア・アパレルを見ると、輸入ブランドで一番目につくのが「コロンビア」。というよりも、これが圧倒的シェアを誇っており、他のブランドは並行輸入に近い程度の流通量しかないのが現状。その並行輸入レヴェルのブランドとはすなわち、「マウンテン・ハードウェア」「マウンテン・デザインズ」「シェラ・デザインズ」などだが、ショップで目にすることはあまりないし、「ザ・ノース・フェイス」「マーモット」「パタゴニア」あたりになると、よほど運に恵まれないとNZでは入手できないだろう。
対する国産ブランド(日本ブランドではなく、NZブランドと言う意味ね、もちろん)は、「マックパック」「フェアリーダウン」の両横綱に加えて、直営店のみの販売網で価格を抑えて最近思いっきりシェアを伸ばしている「カトマンドゥ」がトップ3。さらに、「アース・シー&スカイ」「ワン・プラネット」などの弱小ブランドがいくつかと、「アイスブレイカー」「エヴァーウォーム」などのアウトドア・アンダーウェア専門メーカーなどがいくつか。
ま、簡単に言えば、NZで一般的なアパレル・ブランドといえば、「マックパック」「フェアリーダウン」「カトマンドゥ」および「コロンビア」のたった4つと言ってしまっても過言ではないのだ。
ここにならんだブランド数をすべて合わせても、日本国内のブランド数にはるか及ばないのは、アウトドアズマン諸兄には今さら申しあげるまでもないこと。
ここではアパレルだけを例にあげたが、他の道具類に関しても事情はほとんど同じ。
だから、お店に入った瞬間「ショボイ」と感じてしまうのは、日本人アウトドアズマンにとっては、やはりいたし方のないところだと思う。
ただ、やはりアウトドアズマン人口自体は日本より多いという事実があるので、日本にもない特徴もいくつかある。
例えば、上でちょっと触れたが、「アウトドア・アンダーウェア専門メーカー」や「ハンティング用フリースウェア専門メーカー」「シュラフ専門メーカー」などが、この小さな小さな国に存在するのだ。
これって、かなりスゴイ話ではないだろうか?
前者の1つである「エヴァーウォーム」は日本にも細々とながら輸入されているようなので、ご存知の方もあるかもしれない。
また、同じく前者の1つの「アイスブレーカー」は、いわゆる新素材のアンダーウェアではなく、NZのお家芸であるホンモノの羊毛を使ったアウトドア・アンダーウェアを製造しており、非常に大きな信頼を勝ち取っているブランド。
こういうところには、やはりこの国のアウトドア・グッズの底力だろうと思う。
価格に関して言えば、概して安い。
経済状態が日本ほど良い国じゃないので、当然の話ではある。
よって、上で「並行輸入程度」として挙げたような「超一流」と言われるアメリカのブランドが、NZであまり流通していないのは、当然といえば当然の話なのである。
こういうブランドは、高すぎるのである。
なんせ、実を言えば製品クォリティで言えば、NZの両横綱はこれらアメリカン・ブランドにまったくひけをとらないどころか、勝っている部分も多々あるわけだし、プロの立場からもっとハッキリ言わせてもらえば、高いブランドほど良いっていうのはまったくの大嘘で、ことに消耗品に関しては多少品質が落ちる2流ブランド品の方がコストパフォーマンスに優れることも少なくないからだ。
だからこの国で「コロンビア」や「カトマンドゥ」がものすごいシェアを誇っているのも、当然といえば当然の話で、むしろこれはそうした事実を知っているホンモノのヘヴィーユーザが多い証拠だとも言えると思う。
(私自身、アメリカの「超一流」と言われる高価なブランドの服は、コストパフォーマンスが悪いので、あまり興味を持っていない。)
ナイフなどは、その傾向がますます強いような気がする。
ヴィクトリノックスやウェンガー、レザーマン、バック、ガーバー、コロンビア・リヴァーなどのマスプロブランドの比較的手頃な値段のナイフはこちらでもよく見かけるが、日本でよく見かけるカスタム・ナイフなどは、まずこちらではお目にかかれない。
むしろ、上記のようなブランドナイフと並んで、無銘の安いナイフがゴロゴロと売られていたりする。
確かに、ナイフの切れ味ってのは結局のところは研ぎで決まるのであって、鋼材云々は刃もちのよさや研ぎ易さ(にくさ)に影響を及ぼすに過ぎない。
つまり、毎回キチンキチンと研いでからフィールドに出かける人間ならば、安物の無銘ナイフでも一向に構わないわけで、むしろその方が要らぬ気を遣わなくて良いという意見さえあるのは、私自身にも大いに頷けるところ。
ちなみにそういう私が一番多用するナイフは、無銘ではないものの、安物のオピネルだ。
あと、ハードな道具が普通のアウトドア・ショップにゴロゴロしているのも特徴。
日本では一般的なアウトドア屋さんではなく、山屋、銃砲店、ダイヴィング・ショップなどの専門店の範疇に入るような、クライミング・ギア、銃、ダイヴィング用品なども、一般アウトドア屋さんに普通に並んでしまっているのも特徴だろう。
結局のところ、日本では実用性もさることながら「一生モノ」「ヘヴューデューティ」と言った「ブランド・イメージを所有する喜び」や「アウトドア気分を味わう喜び」を求める傾向も強くあり、それに対してNZの場合はそういうイメージはほとんど求められておらず、単純に「アウトドアで遊ぶための実用道具」が求められている、ということが言えそうだ。
よって、一時渋谷なんかを席巻していた、アウトドア・カジュアルに身を包んだ子供達が喜びそうなアイテムは、残念ながらNZのアウトドア・ショップでは見つけられない。お洒落などとは、程遠い店構えなのである。
ちなみに、日本で信じられている「アウトドア用品は一生モノ」というのは、広告代理店が作り出した幻想に過ぎない。
アウトドア用品といえども、使えば遅かれ早かれ壊れるものなのだ。
本当に一生もつものなど、ほとんどないに等しい。
もしもってしまうなら、それはその程度の使い方しかしなかったというだけの話だ。
「一生モノ」というのは、高いものを売りつけるための宣伝文句に過ぎない、と私は理解している。
さて、コラム内で触れた釣り道具について。
私が日本で最後に勤めていた職場のボスは、フライフィッシャーマンだった。
辞めるときに、NZは最高のフライフィッシング・ゲレンデだからと、タックル一式を餞別としていただいた。
「NZのトラウトはバカデカイらしいから、日本では到底使わないようなゴツイタックルを組んでおいたから」
とのお言葉とともに。
ところが、このタックルをNZに持ってきて釣具屋の親父に見せると「う〜ん・・・」と絶句された。
腕さえあれば、このチャチなタックルでも釣れないことはないが、初心者だとヒットした瞬間にぶち切られて持っていかれるというのだ。
今度はこっちが絶句した。
同様に、海釣り用の道具を揃えようとした時、度肝を抜かれたのが針のでかさ、ルアーのでかさ。
針なんてソラマメ大のばかりで、日本で見慣れた小豆大、大豆大なんてありゃしない。
ルアーものきなみ15cm以上で、30cm級だって珍しくない。
ここは巨人の国か?いや巨魚の国か?
実際のところ、そのバカデカイ針で半信半疑釣ってみると、これが確かに釣れてしまうんだからおそれいるしかない。
アウトドア用の乳母車も、おそらくNZ独特のものではないだろうか?
タイヤ系は約30cm、もちろんラフロード用のラギッドパターン。
もちろん日本で見かけるような華奢なタウンユース専用乳母車もないわけではないのだが、町中で観察していても、どうもこのバギータイプの方が主流のようだ。
我がエイベル・タズマン国立公園のエイベル・タズマン・コースト・トラックは、比較的平坦なトレッキング・コースなので、こういうバギー乳母車を押してテント泊トレッキングしている赤ん坊連れの若いカップルを、よく見かける。
こけおどしではなく、ホントに使ってるのだ、皆さん。
そりゃそうだ、あんなに重い乳母車(軽く10kg以上あったりする)、ファッションだけで使うヤツはいないよなぁ、いくらキウィでも・・・。
赤ん坊用品といえば、ベビーキャリーバックパックも、アメリカにもあることはあるが、やはり世界最高峰の製品はNZ製。
これは、自分自身があらゆる製品を背負い比べてみて購入したから、自信を持って断言できる。
赤ん坊連れでフィールドに出る機会の違いが、品質の違いとして如実に出てしまうのだろう。
これはまた改めて、『掘り出し物』のページでご紹介しよう。
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