banner.gif HOME雑想録その6 バトルの向くまま、気の向くまま『2000.4.7観て』



雑想録

その6 バトルの向くまま、気の向くまま『2000.4.7観て』







 その1その2で2000.4.7のことを書き散らした。 ようやく日本からビデオが届き、遅れ馳せながらやっと映像を目にすることが出来たんで、また書き散らしてみよう。

 実は映像がなかった試合も多く、全試合を観たわけではないのですべてについては触れられないし、特に書く事もないような試合も少なくなかった(^_^; だからかいつまんでつまみ食い的に・・・。

 まず、待望のムタ vs 蝶野戦。 これ、正直言ってちょっとガッカリした。 1シーズン休んだせいか、ムタの動き自体は悪くなかったのに、どうもムタらしさに欠けていた。 精彩がなかった。 何よりも最後の毒霧を吹くタイミングが悪かった。 彼の落ち込み具合は只事では無さそう。 アメリカで元気になってくれればいいんだけどねぇ・・・。

 セミファイナルの健介 vs ライガー戦は驚いた。 健介がいきなり試合開始直後にラリアット2発で秒殺狙ったのには唖然。 あれ、タイガー服部のカウントが遅れたから助かったものの、すぐにカウントが入ってれば3つ入っててもおかしくなかったし、現に健介はあそこでフォールするつもりだったように見えた。 健介ってどっちかっていうとたっぷり時間をかけて技のキャッチボールを楽しむタイプで、結局勝負の決め時を逃して負けてしまうようなパターンが多かったのに、随分精神的に成長したねぇ。 IWGPのベルトを天龍から取った試合といい、今回のライガー戦といい、ホントにいい試合をする。 あと一歩なんかが足りないような気もするけど、でも今一番気持ちいい試合をするのはやっぱり健介と、ライガーだねぇ。 いやぁ、いい試合でした。

 さて、問題の橋本 vs 小川戦。 コレに関しては妻Ryokoもニュージーランド のんき暮らしに書くようだが、私も一言二言いいたい事がある。
 まず試合について。 これは過去の2人の対戦の中でも、第1戦を超えるベストバウトだった。 想像を遥かに超える、ホントにホントにいい試合だった。 感動した。

 だからこそ、テレビ朝日の演出の仕方に腹が立った。 特にアナウンサーの辻! もうアイツは下ろせ!!

 橋本はホントに引退しか賭けるものがなくなり、引退を賭けて試合をした。 彼の事だから、安っぽい話題作りではなく、ホントに本気だ。 そして、『引退試合』に相応しい、ホントに見事な試合をやってのけた。 ここのところ引退が相次いでいるが、これほど見事な引退試合もなかなかお目にかかれないのではないか?

 思えば橋本の凋落は小川との第1戦から始まったわけだ。 私自身は、あの試合に負けた事よりも、あの試合の後
「IWGPのベルトを賭けてもう1回!」
と言ってしまったことが、彼の凋落への始まりだったと思っている。 あの段階で、
「負けたからIWGPのベルトは返上する。」
といえる男だったら、ここまで小川に差をつけられることはなかったと思う。 小川は肉体のみならず精神までをも改造して問題の第3戦(1999.1.4)に望んで来た。 あの試合だって、私自身は世間がいうほど小川は掟破りのダーティ・ファイトをしたとは思っていない。 今回の実況では「小川は今回クリーン・ファイトをした」なんて放送されていたが、私の目からすればここ3回(タッグをいれれば4回)、小川の試合態度はすべて同じようなものだったと思う。 オープン・フィンガー・グローブをつけてマットに上がるフリーファイターとしては特にダーティでもクリーンでもなく、あんなものじゃないかな? 最初の2戦と第3戦の変貌ぶりにみんな戸惑っただけの話ではないか? そして、当の橋本も「甘かった」のだ。 第1戦終了時にベルトを返上出来なかった甘さと、第3戦に戦闘マシーンに変貌して現れた小川に対応し切れなかった甘さは、同質であると私は理解している。 だからこそ、橋本は小川に勝てなかったのだ。

 第3戦に実質的に破れた橋本は、すっかり「アマチュア・ファイター」に逆戻りしてしまった。 これでは小川との差は広がるばかりなのは、素人目に見ても火を見るよりも明らか。 第4戦に望む橋本の目は、まさしく「恋する盲目の乙女」のそれだった。 結果は見なくても分かろうというものだ。

 そして、今回。 橋本は引退を賭けて試合に臨んだ。 いい顔をしていた。 「これは!」と思わせられるいい目だった。 そして、その期待にそぐわぬ素晴らしいファイトをした。 試合前に小川に対し「責任感持てよ!」などと、まだ甘い事を言ってたので心配したのだが、それは杞憂だった。 試合内容については橋本は相変わらず技が単発に終わり、見事なまでに技を繋いでいく小川にやはり一枚劣る部分があること自体は否めなかったが、それをカバーして余りある好ファイトだった。 今回の勝負の明暗を分けたのは、この技の繋がり具合と、小川の猪木譲りともいえる勝負運の強さ(脱臼した肩が入ってしまうなんて運としかいいようがない)、この2点だろう。 精神的、あるいは単発の技術的には完全にイーブンだったと思う。

 だからこそ、あの実況は許しがたかった。 引退を賭けた橋本を徹底的に前面に出して視聴率アップを狙った事自体は、営利企業であるテレビ朝日を責めるわけにはいかない。 橋本もプロだから、それくらいは承知の上だろう。 両親や妻子などの家庭事情にまで立ち入るのはどうかとも思うが、まぁ、そこは大目に見よう。

 だが、辻の実況は許容範囲を超えていた。 「橋本34歳、先の事は何も考えていない!」だの「ローンがあるかもしれない!」だの、大きなお世話だってぇの!! 下世話、下衆にも程がある!!!

 橋本は本気で引退を賭けて、引退試合に相応しい超ベストバウトをやったのだ。 これで第1戦のあとベルトを返上しなかった汚名をそそいだのだ。 つまり、やっとここで橋本は「侠」になったのだ。 それくらいのことはわかってやれよ!! 侠にさせてやれよ! これで引退させてやらないと、ホントに橋本は身の置き場がないんだぞ。 もっと観たいっていうファンの気持ちは分かるけど、それが橋本にとってどれだけ残酷な事かってのは男だったら分かるだろう。 同じ釜の飯食った山崎一夫やマサ・サイトーが引退を惜しむのは分かるし、新日本プロレスが「金のなる木」を手放したくないのも当然だろうが、それはちょっと話が違うのだ。

 ただ、あんな下衆野郎の辻なんかに侠気が理解出来るはずもないのは、誰でもわかる事。 「即引退スペシャル」なんてサブタイトルつけて生放送しておいて、「引退してしまうのかぁ?」はねぇだろう、ってぇの!! ギャラが嵩んでも実況には古舘を連れて来てやって欲しかった。

 橋本が精神面の弱さを引退を賭けて克服し、小川に後一歩の所まで追いついている事は事実だ。 しかし、この後一歩というのが「技の繋がり」という部分になってくる。 自分でもいろいろ格闘技を齧った経験からいわせていただくと、ここははっきりいって天性の素質がモノを言う。 そして、習得にももっとも時間がかかる部分だ。 そういう意味で、後一歩まで迫っているのは事実だろうが、橋本が小川を超える事は極めて難しいと思う。 その点において小川の天性の素質の優位は揺るぎないし、努力でそれをカバーして追いつけるほど橋本は若くない。 おそらく橋本自身がその事を一番よく知っているのではないか?

 というわけで、橋本には本人の意思通り素直に引退させてあげたいと切に願っているのである。 ま、私は海外暮らしの浦島太郎なので、今実際橋本がどういうつもりなのかは知らんけど・・・(^_^;  本人が実は引退する気がなくなってる、なんてことはあるかもしれないが、まぁそれはまた別の話。


 小林邦昭引退、残念だなぁ・・・。

 故福田雅一選手のご冥福を心よりお祈り申し上げます。






(その5へ)
HOME雑想録 その6 バトルの向くまま、気の向くまま『2000.4.7観て』
(その7へ)



Copyright(c)2000 Ryu H. Takahashi All Rights Reserved.
paddle@onjix.com