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先日、マルボロ・サウンド最大にしてニュージーランド全体でも3番目に大きな島(ただし、北島、南島は除く)、ダーヴィル島をシーカヤックで一周してきた。
その時の様子はAotearoa Mailの中にD'Urville Island ( Seakayak Circumnavigation )というページをアップして画像付きでご紹介しているし、
当サイトの方でもドライバッグのページにさらに詳しいレポートを掲載していこうと思っている。
また、同ツアーに同行した妻Ryokoもニュージーランド のんき暮らしの中で、今回のツアーで仕入れてきたネタをいろいろと発表していく予定のようだ。
とにかくこの11日間に及ぶ島の生活はとてつもなく面白く、色んな意味で物凄い成果、収穫が得られた。
サイトに反映できるネタにもこれで当分困らずにすむわけだが、ここ『危機管理考』も忘れるわけにはいかない。
せっかくだから、今回のツアーに関して留意した点を書き止めておこうという企画である。
旅行記を記すのが本稿の主旨ではないので、その点に付いてはとりあえず『Aotearoa Mail』に譲る。
例によって重いページで恐縮なのだが、まだお読みで無い方は先に『Aotearoa Mail』の旅行記の方に目を通していただくと、本章もご理解しやすくなるかと思う。
さて、本題の危機管理の実践編だ。
『Aotearoa Mail』にも記したとおり、今回のツアーはどこかのツアー会社の企画ではなく、完全なプライベート・ツアー。
そしてグループ・ツアーには違いないのだが、実際の所は『単独行の寄せ集め』。
同じ行程で個人ツーリングする人間がたまたま同じ日程で何人か重なってしまったという感じに近い、グループ・ツアーと単独ツアーの中間的なシロモノだ。
だから基本的に準備は『単独ツーリング』のつもりでやることになる。
実際、ツアーの途中でバラバラになって完全に単独行になる可能性も強いわけだ。
というわけで、装備面でも情報面でも、今回はツアー中の他人をあてにすることは出来ないと想定し、完全に事前にすべて自前で準備した。
さて、アウトドア・ツアーの準備を進める際、危機管理面から見ると大きく分けて2つのレベルがある。
- 危機的状況を避けるための危機管理
- 危機的状況から生還するための危機管理
アウトドア危機管理、なんていうとまず後者を思い浮かべがちであるが、どちらかというと私は前者の方が大切だと思う。
後者は前者の失敗をリカバーするためのものである。
そしてこれを技術面から見ると、それぞれのレベルに関して
という2段階レベルの対処技術が必要になってくると思う。
その3 意識についてで触れた通り、危機管理技術上1番大切なのは情報収集である。
いくら道具や技術を持っていても、それらを超える危険に直面してはどうしようもない。
そうならないためには、危機回避のための情報が必要だ。
今回のツアーについての情報収集だが、ラッキーなことに今回の目的地ダーヴィル島に関しては、まわりに経験者がゴロゴロいたので情報収集は非常にたやすかった。
特に同僚のシーカヤック・ガイド達は、普段から気心が知れているしお互いの技術レベルもよくわかっているので、情報源として非常に信頼性が高い。
お互いの危機管理技術のレベルがあまりに違いすぎた場合、情報をそのまま信頼するわけにはいかない場合もある。
例えば、超1流アルピニストにとって簡単な山も、初心者ハイカーにとってはとてつもないハードなコースになってしまう場合を想像していただければわかりやすいだろう。
だから、情報収集の際には、『情報ソース』の見極めも非常に大切だ。
今回はそういうわけで、情報ソースには恵まれた。
集まった情報に照らし合わせて装備を選ぶわけだが、これは後述しよう。
そうそう、情報といえば、情報収集だけではなく、自分のツアーを誰かに伝えておく情報提供も大切だ。
特に今回のように1度ツアーに出発したら、文明との接触が途絶える可能性があるバック・カントリーに分け入る場合は、計画を誰かに知らせておき、万が一の場合はレスキューを手配してもらえるようにしておくことが大切だ。
ま、本当の事を言えばこれは裏山に入る時だって同じなのだが。
さて、それぞれ詳しく見ていこう。
1. 危機的状況を避けるための危機管理
ではまず、危機的状況に陥らないためのノウハウを考えてみよう。
この『危機的状況回避』だが、これもさらに2つのレベルに分けて考えた方がいいだろう。
『衣食住レベル』と『危険回避レベル』だ。
私は特に前者を強調したい。
危機管理なんていうと、災害的、天災的状況ばかりを考えがちだが、人間は出来の悪い動物であるから丸裸で自然の中に放り出されれば、へたすると3日と生きていけない生き物なのである。
衣食住を軽視した危機管理なんてありえない。
だから情報収集の際も、まず念頭において置きたいのは、基本的な衣食住レベルをおろそかにしないことである。
● 衣食住レベル
・情報
今回のツアーの場合、衣食住を考える際に念頭に置いたのは
の3点。
情報収集の結果、まず燃料に関してはどのビーチにも文字通り山積みの流木があるので、何の心配も無いとのこと。
食料に関しては、予想通りツアー中に購入することは不可能とのこと。
水に関しては、一応たいていのビーチに小川があるはずだが、ひょっとすると2〜3日は補給が難しいこともあるかもしれない、との答えが多かった。
これらを考え合わせて衣食住計画を立てた。
・装備
さて、情報が得られたら実際の装備だ。
衣・住の面ではとにかく暖かい服装や寝具を用意するだけのことだから詳しいことは省く。
特にシーカヤック・ツアーの場合は濡れることが大前提なので、トレッキングよりもその点に留意した装備選択を心がけることが大切だ。
燃料は、情報を元に基本的には焚き火で賄うことを想定した準備をし、バックアップ用にガソリンストーブと固形アルコール燃料を数日分持った。
食料面から見ると悪天候に遭遇して停滞を余儀なくされることを考えると1週間のツアーでも最低10日分の食料が必要だし、エネルギーを消費しやすい寒い季節のウォーター・スポーツと言う事を考え合わせると、カロリーの高い食料(チョコレートやナッツ類など)や手軽に口に入れられる暖かいもの(インスタントのスープなど)を多めに持つ必要がある。
水に関しては我々夫婦で計12リットル分の水を持つことにした。
すべてペットボトルだ。
さらにそれぞれの水筒と魔法瓶があるので、実際には14リットル程度の水を携帯することが出来る。
さらに水源がすべて小川であるという事から、今回は浄水器と浄水剤を持った。
● 危険回避レベル
・情報
さて、今度は後者の危険回避レベルの方を考えてみよう。
これはいうまでもなく、向かうフィールドに潜む危険情報を集めておく事によって対処する。
ダーヴィル島の危険海域の様子をツアー経験者から情報収集してみると、ポイントは3つ。
- 本土と島の間に横たわる魔の海峡、フレンチ・パス
- 島の北端部にあるヘルズ・ゲイト
- 外洋である西海岸全般
最初のフレンチ・パスは、この辺りでは知らぬ者のない超有名な難所なので、以前から話はよく聞いていた。
要は、潮流の速い非常に狭い海峡で、鳴門の渦潮のような場所らしい。
これは潮の止まる時刻を狙って対応する以外になさそうだ。
次のヘルズ・ゲイトは今回初めて知った場所だが、基本的にはフレンチ・パスと同じようなものだという。
対処の仕方はフレンチ・パス同様、潮の流れていない時刻を狙う。
ただし、今回潮汐表をチェックしていた所、フレンチ・パスとヘルズ・ゲイトには1時間半の時差があることを発見。
これを見落とすと思いっきり潮が流れている時刻に突っ込んでしまうことになる。
今回はそのものズバリを潮汐表の注意書きの中に発見できたからよかったが、もしはっきりしない場合は必ず詳しい人(地元の人など)に潮の時刻を確認しなくちゃいけない。
もう1つの難所は、西海岸全般。
ま、難所というほどのことではないのだが、マルボロ・サウンドに面した東海岸と違って西海岸は外洋タズマン海に面しているため、全般的に荒れ気味でパワーのあるウネリが押し寄せているし、何kmにもわたって崖が続いて上陸不可能な個所も少なく無いとのこと。
これはシーカヤッキングにかならずついて回るお馴染みのリスクだが、こういう場所は念入りに『逃げ場』を検討しておく必要がある。
もう1つ大切な情報は天候。
今回は長期のツアーなので、あまり先のことまではわからないものの、とりあえず序盤は問題なさそうだった。
・装備
さて今度は装備である。
実は今回装備面で最後まで悩んだのが艇のチョイスである。
恵まれた事に、私はニュージーランド最大のシーカヤック・ツアー会社に勤務しており、しかもその会社がこういったプライベートのツアーにも極めて協力的なのである。
「ん?ダーヴィル一周してくるのか?おぉ、そりゃいい!行って来い、行って来い、是非行って来い!休み?心配するな!どんどん行って来い!艇?もちろんどんどん使え!」
ってなもんである。
だから、使用する艇に関しては選択の幅が広い。
つまり艇の調達に関してはなんの悩みも無かった。
じゃぁ、何を悩んだかっていうと、
「シングル艇を2艇使うか?それともタンデム艇1艇にするか?」
である。
要はRyokoのことである。
彼女はもう決して入門レベルの素人ではない。
静水でリバーカヤックを使った練習ではあるものの、一応エスキモーロールもマスターしている。
でもやっぱりまだ初心者と中級者の境目のどちらかというと初心者寄り、といったレベルである。
彼女が上記のような難所ポイントが所々に待ちうける長丁場のツアーをシングル艇で切りぬけられるかどうかが、今回のポイントだった。
経験者に訊いてみても、Ryokoの体力やパドリング技術レベルを知らない同僚連中には答えられるはずも無い。
ある者は「Ryokoでもシングル艇で大丈夫」というし、ある者は「フレンチ・パスやヘルズ・ゲイトはともかく、西海岸のパワフルなウネリの中を何日も漕ぎ続けるのは、Ryokoにはちょっと辛いんじゃないか?」などと様々。
結局後者の意見を尊重して、今回はタンデム艇を使うことにした。
スピードは確実に落ちるだろうが、ツアーの後半でRyokoが疲労してしまえばシングル艇でもガクッとペースは落ちる可能性は多いにあったし、もし沈しまくるなんていう状況になったらペースが落ちるなんていうレベルの話じゃなくなるからだ。
危険回避レベル面での装備といえば、あとは事前に携帯電話と普通のラジオを購入した。
マリンVHFラジオは今回会社から1台借りて、別のメンバーが携行した。
ただし島に渡ってしまうと、携帯電話もマリンVFHラジオもほとんど役に立たないだろうとのこと。
お守りみたいなものである。
天気予報を聞くための普通のラジオが外界との細い綱になりそうだった。
地図に関してであるが、今回は海図ではなく、一般的な地図を使用した。
海図には物凄い量の海の情報が書き込まれているが、シーカヤッキングには不要な情報も多い。
特に水深に関しては喫水の極めて浅いシーカヤックに関してはほぼ無関係とも言える。
もちろん逆にシーカヤッキングに役立つものもある。
その代表は『灯台』や『潮流』の詳細情報、そして海での基本単位である『海里』『ノット』が視覚的に一目瞭然で分かりやすい事。
この中でも特に灯台情報は、夜間航行の際のナビゲーションに不可欠になってくる大切な情報である。
ただし今回は夜間航行の予定は全くない。
また、潮流情報も今回に限っては全く不要である。
なぜなら今回の難所フレンチ・パスとヘルズ・ゲイトは潮が止まっている時間帯でないと渡れないというレベルの場所なのだ。
だから潮汐表で潮が止まる時間帯がわかるだけで十分なのである。
シーカヤックの場合は、海図に速度が書き込まれるほど潮流の速い場所は、ここに限らず潮が止まらないと手に負えないという場合が多いようだ。
海里、ノットに関しても、まぁ普通の地図でも困るというほどでもない。
1.8を掛けたり割ったりという計算しなきゃいけないのがチョット面倒だが、まぁ慣れれば大した事じゃない。
これらが、今回海図を使わなかった理由である。
もちろん時と場合によっては海図が必須という場合もあるだろうから、『シーカヤックには海図は不要』と短絡的な事を言っているわけではないので、誤解のないように願いたい。
さて地図であるが、シーカヤック用の防水マップケースは持っていないし、NZで買うとなると結構な値段なのでこれはバカバカしい。
というわけでDOC(ニュージーランド自然保護局)発行の普通の地図を購入し、該当部分をカラーコピー。
磁北線(東偏22.5°)を書き込んだ後、ラミネート加工(いわゆるパウチ加工)。
実際に使用した後、帰って来てから撮影したのがこれである。
今回のコースをPC上で書き加えてある。
結局あちこちから浸水してしまい、帰って来てから2週間経つ今もまだ乾いていないが、地図としての役には立派に立ってくれたし、おそらくもう2、3回は平気で使えそうである。
というわけで、やっぱり当面はマップケースは買うつもりはない。
コンパスはボイアンシー・ヴェストのポケットに入れておいた。
ま、結果的にいうとコンパスを使う場面は皆無だったが。
2. 危機的状況から生還するための危機管理
さて、一応危機的状況を避けるために情報収集をし、それなりの装備を整えた。
今度は、万が一危機的状況に遭遇してしまった場合に生還するための危機管理を考えなくてはならない。
情報に関してはすでに仕入れているので、考慮すべきは装備だ。
その前に1つお断りしておく。
装備も危機管理テクニックによって変わってくる。
例えばエスキモー・ロールの習熟度によって、セルフ・レスキュー用の装備が異なることはおわかりいただけるだろう。
また、ナビゲーション能力によって、地図とコンパスだけですむこともあれば、GPSが必要になることもあるだろう。
そういう意味で、危機的状況から生還するための危機管理における『情報』とは、自分自身の危機管理能力を正確に把握していること、というのが1番大切なことかもしれない。
自身の危機管理能力を把握していないと適切な装備を用意することも不可能だろう。
さて、装備だ。
まずシーカヤッキングで考えなくてはいけないのは沈の場合のセルフ・レスキューだ。
今回は前述のようにタンデム艇を使用することにした。
荷物も多いし、Ryokoのロールの技術はまだあまりあてにならないので、沈したら一旦沈脱してからリエントリーすることになる。
これは、水に浸かっている時間が長いという事を意味する。
これを念頭において、パドリング時の服装に関しては、普段仕事の時の服装よりも遥かに保温に気を遣った。
実はダーヴィル島は予想に反して気温、水温ともにホーム・グラウンドのエイベル・タズマン国立公園よりも遥かに暖かかったのだが、でもだからといって油断して薄着になることはせず、沈脱のことを考慮して結局10日間ずっと普段よりもずっと厚着のままパドリングし続けた。
不慣れなフィールドにおける当然の配慮だと思う。
あとは普段通りの緊急用装備である。
詳しくはドライバッグその4 ガイドの緊急装備をご覧頂こう。
ただしいくつか相違点もある。
今回は、15mのトウライン、アブミとマリンVHFラジオは省いた。
他のメンバーは全員プロのシーカヤック・ガイド、あるいはそれに準ずるレベルの人間ばかりだと聞いていたので基本的にトウイングは不要と考えて良さそうだったからだ。
でもやはり難所が幾つかあることを考慮し、ボイアンシー・ヴェストに装着している短いトウライン2本はそのまま着けて行った。
いくらなんでも1本も持たないわけにはいかないし、もしプロを相手にトウラインを使うような場合が起こるとすれば、おそらく相当な難所での沈であり、つまりこれは一刻を争うクイック・トウイングの必要な状況だろうから、やはり持つとすれば今回の場合は短いトウラインだろうと判断したわけである。
アブミに関してはもう完全に不要。
アブミを使わないとリエントリー出来ないプロはいない(^_^;
マリンVHFラジオは前述の通り会社から1台だけ借りて別のメンバーが持ったため、私自身は持たなかった。
ちなみに今回我が社からは私を含めて4名が参加していた。
ファースト・エイド・キットは普段会社で使用しているものではなく、自分で独自に用意したものを持った。
さて、シーカヤッカー諸氏にとって気になるのはパドル・フロートではないだろうか。
『ドライバッグその4 ガイドの緊急装備』のページでは、普段のツアーにはパドル・フロートは不要だと述べ、さらに「我々とてプライベート・ツーリングで知らぬ海域をパドリングする際は、もしものバックアップ手段としてパドル・フロートは携行するのはいうまでもない」と書いた。
で、今回は持ったかというと、実は持たなかった。
なぜだかお分かりだろうか?
今回の使用艇がタンデム艇だったからだ。
タンデム艇はシングル艇に比べて遥かにリエントリーが楽チンなのである。
さらに、今回沈をする危険性のある場所は、かなり危険度の高い場所が多そうであった。
トウラインの所で述べたとおり、のんびりとパドル・フロートを用意している暇はないだろうと判断。
よって結局今回も『不要』と判断した。
もし今回私とRyokoがそれぞれシングル艇を使用していたとしたら、もちろん携行したはずだ。
本音を言えば、実は今回のツアーにはシーソックを試してみたいと思っていた。
フォールディング艇ご使用の方にはお馴染みの装備だが、私はリジッド艇にも有効な装備ではないかとふんでいるのだ。
寒い季節には防寒性が高まるだろうし、何より沈脱した場合、リエントリーする前にコクピット内の水を出してしまえるというメリットがある。
だから個人的にはパドル・フロートなんかよりもよっぽど実践的な装備だと思っている。
特に沈脱を余儀なくされるタンデム艇の場合に、より大きな効果が期待できるのではないかと思うのだ。
ただし、ただでもモノのないニュージーランドの、さらに辺境の片田舎のことであるから、そんなモノを売っているはずもない。
だから自作する以外にないのだが、我々はミシンを持っていない。
ツアー前にはバタバタしてしまって、結局ミシンを買ってシーソックを自作するなんていう時間は取れなかった。
だから帰って来た今、早い所ミシンを手に入れ、試作してみなくてはと思っている所だ。
● 反省点
結果的に見れば今回のツアーの危機管理はほぼ成功だったといえる。
なんせツアー中、ヒヤッとする場面は皆無だったし、こうして何事もなく楽しくツアーを終えて帰って来ているのだから。
事前に収集した情報にも特に漏れはなかったし、ツアー中の状況判断を含めても情報面に関してはミスは無かったと思う。
また装備面に関しても情報収集に成功していたお蔭で、ミスチョイスはなかったようだ。
ただし、本当に何事もなく100点満点の危機管理だったかといえば、実は1つミスをやっている。
恥かしい話だが一応記しておこう。
メガネとコンタクトレンズ・ケースを忘れて行ったのである。
予備のコンタクトレンズ及びそのケースは持っていたので、外したコンタクトレンズの収納に関しては問題なかった。
ただ、私の裸眼はほとんど飾り程度のシロモノなので、起床から就寝までコンタクトレンズをつけっぱなしの生活となってしまった。
なんせ日没後ともなると、裸眼ではトイレに行くためにテントを出るのも一苦労になってしまうのだ。
1日中着けっぱなしで紫外線の強いニュージーランドの海を旅するわけだから、当然眼への負担は大きくなる。
実際、ツアーを終えて暗い夜道を車で家に向かっているとき、眼の疲労は極限に達していた。
本当にこの時はメガネが恋しかった。
大袈裟に言えば、この時が今回のツアー中の最大の危機的状況だったといえるかもしれない。
事故を起こさなくて本当によかった・・・。
視力の弱い人間にとってはメガネ、コンタクトレンズも間違いなく必需品、つまり極論すれば緊急装備の1つである。
2度と忘れることのないように肝に銘じた次第である。
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