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さて、『ドライバッグ』、つまりシーカヤックのページだ。
まず1発目に何を書こうか、随分迷った。 そこでハタと思いついたのが、普段のガイドトーク。 ガイディングの際には国立公園の歴史・動植物などのフィールドの説明以外にも、時折潮汐のメカニズムとか波の話などの海ネタ、または風や雲などの気象ネタなんかもしている。 実はそのほとんどが中学校くらいの時に理科で習ったことなんだけど、ほとんどの方がもうすっかり忘れちゃってる。 そして、実際の海の上で聞くもんだから中学校時代に教室で聞いてたのと違って、皆さん凄く面白がって下さるのだ。 よし、これで行こう! っていうわけで、まず1発目は『潮汐』だ。 ちょーせきなんて難しそうな字面だが、要は満潮、干潮の干満のことだ。 海のメカニズムを学ぶためにはまず潮汐と海流、この2つが必須だ。 後者の海流は日々の変化はあるものの、大雑把に言えば常に一定方向に流れ続けるシロモノだし、海岸付近を流れていることは稀だ。 それに対して前者の潮汐ってのは、いかなる海でも無縁ではいられないシロモノ。 海流と比べてより身近なムーヴメントだ。 これを知らないと痛い目に遭う。 アウトドアってのは本来人間のテリトリーじゃない。 整備されたキャンプ場とか登山道なんてのはまだ人間のテリトリー内だが、道の無い森の中や雪原に足を踏み入れようとするときは、『そこは結界の外だ』という事をよく心にとめておく必要がある。 人間社会の常識は通用しないので、そのフィールドのことはきちんと勉強しておく必要があるわけだ。 そして海もまた同じ。 勉強しよう。 何、そんなに難しいもんじゃない。 さて、前置きが長くなった、本題に入ろう。 メニューは以下の通り。 (1) 潮汐の起こる仕組みについて (2) 潮汐差
(3) 1:2:3の法則
(4) 潮流
(1) 潮汐の起こる仕組みについて まずは肩慣らしだ。 簡単な所から行こう。 干潮、満潮は1日何度あるかご存知だろうか? 海のそばで生まれ育った私にとっては結構意外な事だったのだが、実は大半の方がこれをご存知ないということにガイドになってみて初めて気付いた。 まぁアウトドアズマンの場合はご存知の方が多いと思うのだが・・・。 さて、答えだが、実は1日にそれぞれ2回ずつある。 つまり大雑把にいえば
1:00 am - 満潮 のように、約6時間周期で海面が上下しているわけだ。 実際にはきっちり6時間ではないために少しずつずれていくのだが、このずれ方にも一応の法則性がある。 それは後述しよう。
しかし月ってのは凄まじいもんだ。
引力は地球の数分の一で、しかもあんなに遠くにあるのに、あれだけ海水面を上下させてしまうんだそうだ。
アウトドアズマン諸氏は体験的によぉ〜くご存知の通り、水はスゴク重いというのに・・・。 おっと話が逸れた。 海面の上下運動が月の引力だって事は分かった。 じゃ、「なぜ1日2回ずつ干満があるのか?」だ。 これは簡単。 月がほぼ1日で地球の回りを1周するからだ。 上の4つの図の状態を1日で経験するから干満も2度ずつってわけ。 さて、先ほど『干満時刻は法則性にしたがってずれていく』と書いた。 今度はそれをご説明しよう。 月が満ち欠けするのはご存知の通り。 そして月の満ち欠けのステージに応じて、月の昇る時刻沈む時刻が変化するのもご存知だろう。 学校で習ったのを覚えていらっしゃるかもしれないし、体験的に満月は日没とともに昇るが半月は昼間でも見えるってのをご存知の方もいらっしゃるだろう。 ともかく大事なのはこの月の出入りの時刻は毎日ずれるっていう点。 これは文字通り月が地球の回りをまわる公転のため。 太陰暦やバイオリズムとも関わりが深いし、最近ナチュラリストの間ではムーンカレンダーなるものも大人気だからこれまた皆さんよくご存知だと思うが、この公転周期は約28日間。 28日かけて1周するという事は、逆にいえばどんどん時刻がずれて行った末に28日後にはほぼ同じ時刻に戻るってことだ。 ということは、1日にずれていくのは24/28時間ずつという事になる。 これを計算して分に直すと約52分。 つまり、1日に約52分ずつ月の出入りの時刻はずれていくことになる。 ここまで書けばもうお分かりだろう。 地球と月との位置関係によって干満が起こるのは先ほど見た通り。 つまり干満時刻も1日に約52分ずつずれていくという計算になるわけだ。 とすると、干潮と満潮の間は6時間ではなく、52分の4分の1である13分を足した約6時間13分おきということになるわけだ。 先ほど6時間周期の潮汐時刻表を挙げたが、より正確に書くと計算上はこうなる。
1:00 am - 満潮 ま、これはあくまでも計算上の話であり、元になった数値も全て『約』がついている上に、実際には水はここまで正確には動いてくれないので、この表の通りになることはまず滅多にない。 なんせ海水の量はとてつもない上に海流、地形などにも影響を受けるので、あちこちで渋滞を起こしてタイムスケジュール通りにはいかないわけだ。 この通りになるんだったら、お金を出して潮汐表なんていうシロモノを買わなくても済むんだがなぁ・・・。 ただ30分だとか1時間だとかのような大きな誤差は出ない。 通常、誤差はほんの数分ずつだ。 今日の満潮時が午後1時半だと知っていれば、明後日の満潮時は午後3時5〜20分ごろと思ってだいたい間違いない。 電車や飛行機じゃないんだから、この程度分かっていればまず支障はないだろう。
おっと忘れる所だった。
満潮を高潮(こうちょう)、干潮を低潮(ていちょう)と呼ぶ事もある。
覚えておこう。
読者の方から間違いのご指摘を頂きました。 本文内では俗説に従って『月の引力で海水が引っ張りあげられて干満が起こる』と説明しましたが、正確に言えばそれは間違いであるというご指摘とともに、正確なメカニズムをご教授頂きました。。 ご本人様がご快諾下さったので、ご指摘のメールをそのまま転載させて頂く形で、追記訂正に変えさせて頂きます。
土居さん、どうもありがとうございました。
大変勉強になりました。
(2) 潮汐差 潮汐差は干潮時と満潮時の潮位(水位)の差のこと。 「今日の潮汐差は2.3mだ」のように使う。 2000年8月9日のここネルソンの潮汐表を見てみよう。 先ほどの架空の例と違ってこれはホンモノの潮汐表なので、前項で申し上げた通り、ホンモノの海は正確に6時間13分周期で動いている訳ではないっていう点にも注意してみて欲しい。
満潮 - 4:53 am 3.2m さて、右端の3.2mとか1.5mっていうのがそれぞれの干潮時、満潮時の潮位だ。 潮汐差はこの満潮時の潮位から干潮時の潮位を引けばいい。
午前 3.2m - 1.4m = 1.8m これがこの日の潮汐差である。 実はこの潮汐差も一定ではない。 今度はその約1週間前の2000年8月1日の同じくネルソンの潮汐表だ。
干潮 - 4:31 am 0.3m ご覧の通り、前の例と比べると干潮時の潮位はグッと低くなり、逆に満潮時の潮位はグッと高くなっている。 潮汐差は大きい方をみれば 4.6m - 0.4m = 4.2m 先ほどの2000年8月9日の潮汐差とくらべると、なんと2倍以上違うのだ! わずか8日間の間に潮汐差は2.5mも変化している事になる!! ま、実をいえばここネルソンが面しているタズマン湾はニュージーランド最大の潮汐差をもつ海域なので、これは少々極端な例ではある。 潮汐差が4mを超える海域というのはそうたくさんあるわけではないし、潮汐差の最大時と最小時が必ずしも2倍以上違うというわけでもない。 これは場所によってマチマチだ。 逆に最大潮汐差が10mを超えるような海だって世界には存在するのだ。 ま、あまりにも極端な例はさておき、潮汐差が一定ではない事はおわかりいただけた事と思う。
右の図を見ていただこう。
これが先ほどの2000年8月1日の時点での地球、月及び太陽の位置関係を示したものだ。
ご覧の通り『地球 - 月』のラインの延長線上に太陽がある。
つまりこの3つの星が一直線上にあるわけだ。
これ、月齢でいえば新月にあたる状態である。
順番変わって『月 - 地球 - 太陽』っていう並び方の直線になる場合もある。
これはご存知満月だ。
この新月と満月、地球から見れば同一ライン上に太陽と月があるわけだから、両方の引力パワーが合体攻撃を仕掛けてくることになる。
この合体パワーの引力の影響をモロに受けるのが他ならぬ海水、つまり潮汐というわけ。
当然『月 - 太陽』ライン上にある海域は引力の影響を受けて海面が思いっきり上昇して、いわば超満潮状態になる。
海水量は一定なので、1箇所に極端に海水が集まれば他の所は極端に不足するのが道理。
つまり、そこから90度ずれた海域は海面がとことん下降して超干潮になるというわけだ。
これが大きな潮汐差の秘密だ。
この潮汐差最大の状態を大潮(おおしお)という。
ちなみに英語ではspring tide。
どうだろう、ご理解頂けただろうか? 前項で述べた通り、月は28日周期で満ち欠けを繰り返している。 つまり約1週間周期で『満月 - 半月 - 新月 - 半月 - ・・・』と変化するわけだ。 今見た通り、これを潮汐に置きかえると『大潮 - 小潮 - 大潮 - 小潮 - ・・・』となる。 実は正確に言えば、大潮は満月・新月の日から約2日後、小潮も半月の日から約2日後になる。 タイムラグがあるのだ。 覚えておこう。 つまり、結局やっぱり潮汐表はきちんとチェックしなきゃいけないってわけ。 さて、これを実際のカヤッキングに当てはめて考えてみよう。 カヤッキングする際、どちらが注意すべき潮といえば、これはいうまでもなく大潮だ。 上陸して休憩している時の事を考えてみるとわかりやすい。 先ほどの例を使おう。 あなたは2000年8月1日午後5時にネルソンエリアのとあるビーチに上陸し、キャンプをしようとした。 この時刻が干潮時だという事は知っていたので、カヤックは思いっきり引き上げた。 広大なビーチをヒィヒィ言いつつ、波打ち際から20m、高さにして水面から3m以上も引っ張り上げて、「これだけ上げれば大丈夫だろう」と一安心。 しかし!翌朝ビーチにはあなたのカヤックは影も形も無い!! そりゃそうだ、この日の潮汐差は4.2m。 3m引き上げたくらいじゃまるで話にならないのだ。 これが小潮の日だったら何の問題も無かったのだが・・・。 実際にはビーチを観察すれば前回の満潮時に流れついた漂流物が帯状に堆積しているし、そうでなくても砂粒の大きさががらりと変わる線があるので、次の満潮時の潮位とか最大潮位とかはだいたい見当がついてしまう。 岩場の場合も最大潮位部分が線になっている場合がほとんどだし、コンクリート護岸も同様。 つまりたいていの場合、満潮時の潮位は見当がつくというわけだ。 だからいくら潮汐差が大きいとは言え、艇を満潮時の潮位以下の所に置いて寝てしまうなんてヤツは、そもそもアウトドア不適格者といっていいだろう。 カヤックが無くなったのを機に、「無くなったのが命でなくてよかった」と神様仏様に感謝しつつアウトドアからすっぱり足を洗ったほうがいいかもしれない。 おっと話が逸れた。 これは危機管理考向けのネタだ。 本題に戻って別の例を続けることにしよう。
先ほどとは逆に満潮時に上陸し干潮時に出発しようとした場合を考えよう。
この場合はカヤックをさらわれる心配は皆無だが、いざ出発しようとしたら波打ち際は数百mの彼方・・・、なんてことも起こりうる。
これはこれで非常に厄介な話だ。
むしろ潮が引いていくときは、満ちて来ている時に比べて油断しやすいし、気をつけたからといって打つ手があるわけでもないから、実際にフィールドで経験しやすい事例はこっちの方かもしれない。
砂浜ならまだいいが、岩場だったら・・・。
ちなみに私が仕事で出発につかうマラハウのビーチの場合、大潮の日の場合は干潮時には満潮時より700mも先に波打ち際が移動する。
さらにマラハウから数km南にあたる我が家のすぐそばの海は、1km以上波打ち際が後退する。
潮汐差が大きくなおかつ遠浅の海ではこういう事もあるのだ。
(3) 1:2:3の法則 さてさて、前2項の説明で潮汐の起こるメカニズム、及び『潮汐は、時刻も干満時の潮位もどんどん変化している』という事実がおわかりいただけた事と思う。 本項と事項では実際にシーカヤッキング時に注意すべき点として、より実践的な知識、アドバイスを書いてみたい。 まず本項では1:2:3の法則だ。
また問題を出そう。
潮が満ちてくる際、潮位の上がり方は一定だろうか?それとも変化があるのだろうか?
正解は変化があるだ。
じゃぁどういう風に変化するのだろう?
やはり法則性があるのではないだろうか? まずいつものように例を挙げよう。 『干潮は正午で潮位0.0m、満潮が午後6時で潮位は12.0m、つまり潮汐差は12.0m』という状態を想定してみた。 ちょっと現実離れした例だが説明上の便宜だ。 さて前段で申し上げた通り、
0:00 pm 0.0m
0:00 pm 0.0m となる。 各時間帯の潮位の差を並べてみると
0:00〜1:00 pm 1.0m つまり1:2:3:3:2:1の割合で潮位差が変化しているのがおわかりいただけると思う。 これが1:2:3の法則だ。 (右の図と本文中の表が上下逆転して見にくくなっている点、お詫び申し上げます。) この法則は極めて重要である。 よく覚えておこう。 たとえば、シーカヤッキング中に休憩のために1時間上陸しようとする際、正午上陸だったら1時間で上がる水位は1mだが、午後3時上陸だと3m水位が上がる事になる。 カヤックを引き上げておく高さがまるで違うのだ。 いざ出発しようとしたら、艇が影も形もなかったじゃシャレにならない。 さらにこれは次項で説明する潮流にも関わってくる。 命に関わる法則なのだ。 ぜひ頭にいれておいて頂きたい。
最後に一応念の為に申し上げておくが、この1:2:3という数値はあくまでもおよそである。
ゆめゆめcm単位の精度を要求することのないように。
(4) 潮流 前項で1:2:3の法則について解説した。 そして具体的にこの法則をカヤッキングに応用する例として、上陸時を挙げた。 もちろん上陸時にこの法則が役立つ事はいうまでもないことだ。 しかし、この法則が本当に重要になってくるのは潮流との関連だ。 前項の最後で述べた通り、これは命に関わることである。 心して読んで頂きたい。
潮流は海流と混同されやすい。
日本の場合、なぜか海流に黒潮とか親潮などと潮という字のついたニックネームがついているのが混同の大きな要因の1つだろう。
ま、原因はともかく、海における水流という意味では同じではあるものの、それでも海流と潮流はまったく別物なのである。 少々脱線になるのだが違いをご理解頂くために、海流についても一応ごく簡単にご説明しておこう。 海流は広い海域、海洋を一定方向にグルグルと回りつづける超巨大な地球規模の渦状の水の流れだ。 同じ場所で観察した場合、日々の変化はあるものの基本的には方向は一定だし、流速も急激には変化しない。 例えるならば海の中の河だといって差し支えないだろう。 詳しくは伊豆在住トップシーカヤッカー塩島敏明氏のサイト黒潮の海へ、ようこそで簡潔かつ明解に解説してあるので、ご興味をお持ちの方はそちらをご参照頂きたい。 さて話題を潮流に戻そう。 こちらは潮汐で移動する海水が流れとなったものである。 干潮時から満潮時に移行する時、その海域には文字通り水が流れ込んでいるのであり、逆のパターンでは水が流出しているわけである。 この流れが潮流である。 つまり海流との決定的な差は満潮時、干潮時を境に逆方向に流れが変化するという点だ。 (これを転流という。) これは川や海流にはない性質だ。 例えとして適切かどうかは自信がないが、近いものを挙げるとすれば、寄せては返す波打ち際の波だろうか。 寄せる波と返す波の間隔を約6時間に引き伸ばしたものが潮流のイメージに近い。 この『時間帯によって方向の変わる流れ』が要注意っていう事は、どなたにもおわかりだろう。 気軽な日帰りツーリングに出かけたら、出発後いきなり案外強い逆流。 「でもこれなら帰りは楽チンだ」と思ってたら、帰りも逆流。 これじゃ体力をあっけなく使い果たして意外なところで遭難なんて事になりかねない。 そのフィールドは前に漕いだことがあるとしても、潮流は前と同じとは限らないのである。 潮流が違うという事は似て非なる別のフィールドだと思っていいくらいだ。
当然小潮より大潮の方が要注意だ。
潮汐差が大きければ大きいほど、流れもより速くより強力なものになる。
概していえば、島などが点在し、狭い海峡や水道を水が通りぬける形になる場所で水流が加速され、難所になる事が多い。
こういう島が点在するような場所は、シーカヤックにとっても魅力的なフィールドだから、事態は厄介だといえる。
川に例えれば2、3級の瀬の様相を呈する場所も珍しくないし、難所といわれる海域ではそんなものではすまない場合だってある。
1番分かりやすい例を挙げれば、徳島県の鳴門の渦潮。
もちろん1番激しい状態の場合、シーカヤックはおろか大型船でさえ太刀打ち出来ないほどのシロモノだ。
川のクラスに例えると何級にあたるのか、私には想像もつかない。 さて、流れの方向が変わるのはわかった。 小潮の時より大潮の時の方が流れが速く強力なのもわかった。 じゃあ、1日の間では潮流のスピードは一定なのだろうか?それとも時間帯によって変化するのだろうか? これは重要なポイントだ。 もし流速が変化しないとすれば、右から左に向かって3ノット(時速5.4km)で流れていた潮流が満潮時を境に一瞬にして同じく3ノットの逆の左から右への流れに変化するなんて事態が起こることになる。 こんな海、私は死んでも漕ぎたくない!! 心配ご無用、こんな事は起こらない。 つまり、流速は一定ではないのだ。 当然ながらターニングポイントである満潮時・干潮時には、潮位の変化が止まるのと同時に流れもぴたりと止まる(これを停流、または憩流といい、潮が止まっている時間は海域によって差がある)。 とすると逆に潮流が最も速いのは、潮位が一番急激に上がったり下がったりする時間帯と同様に干潮と満潮のちょうど真ん中の時刻になるのではないだろうか? ビンゴ!大正解!! そのとおりである。 賢明な読者諸氏にはもうお分かりの通り、実は前項の1:2:3の法則がそのまま潮流に関しても当てはまるのだ。 もう1度前項の図や表をよく見て欲しい。 1:2:3というのは潮位変化の比であるが、これすなわち水量の比であり、これすなわち潮流のスピードの比にもなるわけである。 つまり満潮後2時間後〜3時間後の平均スピードは、満潮時〜満潮後1時間の平均潮流スピードの3倍になるわけだ。 ちなみにこれはあくまでも平均の話。 流速のピークは当然午後3時頃だが、これを午後12時半の潮流のスピードと比較すると3倍どころでですむはずがない。 潮流の速いエリアの場合、通過する時間帯を考慮しておかないとエライ事になるのは言うまでもない事。 先ほど申し上げたように大潮の流速ピーク時には川の3級相当の瀬の様相を呈する場所も珍しくないのだ。 基本的には流れを下るリバーカヤックと違い、シーカヤックの場合は先ほどの例のようにこの瀬を逆行しなきゃいけない場合もあるし、何kmにもわたってこの瀬を横切らなきゃいけない場合だってあるのだ。 しかも川と違って『海流という別の流れ』、『波』、『風』という別要因も存在する。 これらが加わるとあっという間にコンディションは悪化するからますます厄介だ。 同じことは海流にもいえるわけだが、基本的にコンスタントに流れつづける海流と違って潮流の場合はタイミングを選べば難易度が下がるというのがポイントになる。 つまり逆に正午や午後6時の潮流が止まっている時間帯ならば、午後3時に3級の瀬の様相を呈していた場所も静水となり、楽々通過出来ると言うわけだ。 風や波がある場合でも潮流が止まるだけで海面のコンディションはずっとましになる。 ちなみに完全に蛇足だが、海流と潮流がぶつかる場所、なんてのもたくさんある。 2本の川が合流する地点が複雑な様相を呈しているのはご存知の通り。 海流と潮流のぶつかる地点も基本的には同じだ。 さらにここに波や風が加わると・・・ というわけで、海流と同様、潮流を舐めると命取りだ。 ゆえにかくも1:2:3の法則は大切なのである。 このページで長々と潮汐に関してご説明申し上げて来たが、それも結局はこの法則と潮流の関係をご説明したかったからといっても過言ではない。 しつこいようだが、もう1度いおう。 よぉ〜く覚えておいて下さい。
ちなみに潮流が速い場所の場合は海図を見れば方向とスピードがわかるようになっている。
シーカヤッカーもシーマンの一員。
海図を読むのも当然必須事項だから、また章を改めて解説する事にしよう。
(いつの話だろう???)
まぁ、実際には海図に潮流スピードが書き込まれるほどの『難所』の場合、潮流の速い時刻にシーカヤックで通過するのは不可能な事がほとんどだろうが。
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