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その1 ザック







 『アウトドア・ギア三種の神器』といえばなんだろう? ま、これは人によって色々な意見があるだろう。
「ライターは外せない」
とか、
「ナイフは必携」
だとか、
「地図を忘れてどうする!」
だとか・・・。
 ま、全部ごもっとも。 3つだけ挙げようってのがそもそも無理なわけで、これを10個にすると比較的意見はまとまってくるような気がする。 そして、誰もが挙げるであろうと思われるのがザック雨具の3つだ。 この3つなしではそもそもフィールドに出かけることさえ覚束ないのだから当然だろう。 というわけで、独断と偏見でこの3つを『アウトドア・ギア三種の神器』と制定してしまおう。

 さて、今回の話題はその三種の神器の中の1つ、ザックだ。 選び方やパッキングの仕方なんかについては、たくさんマニュアルが出まわってる。 だいたいどれを見ても同内容で大差ない。 これに全面的に肯ければ何の問題もないのだが、実は若干疑問点を感じている部分がある。 そういう事をちょっと記しておこう。 たぶんベテラン諸氏にとっては当たり前のことばかりだろうが、経験の浅い方のご参考になれば幸いだ。

 ちなみに当ページでザックと称しているのは現在主流のインターナルフレームパック及び小型デイパック等のソフトパックのことであり、エクスターナルフレームパック(いわゆるフレームパック)やキスリングの類は含んでいないことをあらかじめお断りしておく。

● 重いモノは上?

● 初心者には2気室のモデルがお薦め?

● 購入時の裏技

● 迷った時は

● 水洗い禁止

● 小型ザック選びはかくも難しい






● 重いモノは上?

 さて、順番的には前後するようだが、まずパッキングの話から始めよう。 私の場合ニュージーランドには『パッキング法』なんかが載ってるような超初歩的なマニュアル本なんか持って来てないし、ちょっとその辺の本屋で確認、なんてわけにもいかないからハッキリと断言は出来ないのだが、おそらく99%の解説書の類には次のように書いてあるはずだ。

 パッキングの際はまず下に軽いモノを詰め、上になるほど重いモノを持ってくる。

 ウン、完全な間違いではない。 しかし、明らかに舌足らずだ。
 補足しよう。このやり方が文字通り通用するのはせいぜい50リットルクラス以下の小型ザックだけだ。 これより大きな中〜大型ザックの場合、バカ正直にこの通りに一番上に一番重い荷物を持ってくると非常に不安定になり、極めて危険だ。 さらに重心が高すぎると正しくフィッティングすればするほど前のめりの姿勢を取らざるを得なくなり、ドンドンしんどくなっていくという皮肉な状況も起こる。 正しくは、

パッキングの際はまず下に軽いモノを詰め、上になるほど重いモノを持ってくるのが基本。
ただし、大型ザックの場合は重心を上げ過ぎるとバランスを崩しやすくなるので、肩甲骨より上に重いモノを詰めないように注意すること。

 お分かりだろうか。 つまり一番重いモノは『上』につめるのではなく、『肩甲骨付近』に詰めるのが正しい。 小型ザックは上の方に重いモノを持って来れば自然とこうなるというだけの話だ。 ちなみに先ほど『50リットル以下』という風に書いたが、これはあくまでも目安だ。 体格やザックによって一概には言えない。 要は本体部分がどれだけ肩より上に出っ張るザックかを見極めなきゃいけない。
 なに、簡単だ。 ハーネス部分を見て、ショルダーストラップの付け根あたりを目安に一番重いモノを持って来ればいいだけの話だ。 大型になればなるほど、雨ブタ(トップポケット)に重いモノを入れるのも避けた方がいい。 バランス感覚や歩く技術の低い初心者、入門者が思いっきりザックの重心を高くしている図なんて、危なっかしくて見てられない。 下手するとバランスを崩して滑落。 命取りだ。


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● 初心者には2気室のモデルがお薦め?

 マニュアルを見るとたいてい初心者には2気室モデルを薦めている。 理由は

2気室の方が荷物の整理が楽だから

 根っからの整理整頓下手の私はいつも思いっきり疑問を持ってしまう。
「1気室ってそんなに扱いが難しいかぁ???」
 もちろん、ここは好みや個人差の出て来るところだから、声を大にして断言できる部分ではない。 ただ、やっぱりマニュアルがいうほど1気室が難しいとは到底思えない。 『母親のお腹の中に整理整頓を忘れて来てしまった私』がいうんだから、かなり説得力があると自負している。 (自慢できることではないが・・・(^_^; )

 じゃぁ、ここでちょっと1気室と2気室のメリット、デメリットを比較検証してみよう。 実際にはそんなモデルは存在しないが、
『同ブランド、同容量、同仕様。あくまでも違いは気室数だけという2モデルの比較』
という想定だ。

   1気室  2気室
重量
価格
耐久性
アクセス性
実質容量

 少々説明が必要だろう。

 まず重量価格は簡単だ。 2気室にすれば仕切り布、ファスナー、補強の縫製などで当然その分重量が嵩む。 価格だって当然その分嵩むわけだ。

 次に耐久性。 ザックで一番壊れやすい部分はストラップ類の付け根とファスナー部。 つまりファスナー部の増える2気室は耐久性が1気室より劣るわけだ。

 アクセス性ってのは内部の荷物の取り出しやすさだ。 つまり冒頭に出てきた整理整頓しやすいってのがこれにあたる。

 実質容量ってのは、実際に詰め込める荷物の量。 同容量のザックだから同じだけの荷物が入るかと思うとさにあらず。 ザックの隅にはどうしても荷物の詰められない無駄な空白スペースがある。 2気室にするとそのスペースは単純計算しても倍になるという事になる。 つまりその部分だけ荷物は入らなくなる。 しかも前述の通りファスナーは壊れやすいので1気室のように限界までギューギューパンパンに詰め込むわけにもいかない。 というわけで実際には思った以上に容量差が生まれてしまう。 2気室で使っててあと1つ荷物が入らないなんていうとき、仕切りのファスナーを開けて1気室にした途端アラ不思議、スッキリ収まってしまう!なんてこともある。 (ま、ホントいうとザックなんて限界まで詰め込むべきではなく、むしろ少々ゆとりのある大きさのものコンプレッションして使うべきものなんだが。)

 さて、説明が終わったところでもう1回図を見直そう。 一目瞭然、2気室のメリットはアクセス性だけだ。 マニュアルの類は初心者にはこの点だけを強調して2気室を薦めるわけだ。 他のデメリットは無視されてしまっている。

 じゃぁアクセス性っていうシロモノは、他のデメリットを補って余りあるほど意味のあることなんだろうか? これは全くの私見だが、2気室にしたりサイドまたはフロントローティングパネルを設けたりしてアクセス性を高めることによって使い勝手が各段に向上するザックは、普段使いの小さなデイパック90リットルクラス以上の超大型ザックだけだと思っている。 逆に一般的にアウトドアで使われるサイズのザックの場合はアクセス性なんてほとんど気にする必要はないと思うのだ。

 じゃぁ、なぜ普通にアウトドアに使われるサイズのザックの場合はアクセス性を気にしなくていいのだろう? 簡単な話だ。 特殊な目的をお持ちの方を除いて一般的に登山やトレッキングなどを楽しむ場合を考えた場合、テント利用、山小屋利用を問わず、大部分の荷物は昼間の行動中には必要ないのである。 そして、一旦テントサイトや山小屋に到着したら、今度は逆にほとんどの荷物が必要なのだ。 つまり、行動中に必要になりそうなもののうち、確実に必要になるものは雨ブタ部分(トップポケット)やジャケットなどのポケットなどに、そして「ひょっとしたら必要になるかもしれない」程度のものはメインコンパートメント上部にいれておけばいいのだ。 ほら、アクセス性なんてほとんど問題にならないでしょ? そして1日の行動が終わればどうせ全部の荷物を引っ張り出さなきゃいけなくなるんだから、やっぱりアクセス性なんか関係ない。

 アクセス性の問題が解決したからといって話はまだ終わりじゃない。 今度は中身を2つに仕切る必然性を吟味する必要がある。 さて、もう1度冷静によく考えてよう。 コンパートメントを2つに仕切らなきゃいけない必然性はあるのか? アクセス性の問題は別としてとにかく絶対に2気室にわかれてなきゃ困る、なんていう方、いらっしゃるのだろうか?
 もちろん、そういう必然性をお持ちの方は必ずいらっしゃるのだ。 でも、そう多くはないはずだ。 冷蔵室と冷凍室じゃあるまいし、別室に分けてしまわなきゃいけないものをお持ちの方は実際にはあまりいらっしゃらないような気がする。

 というわけで、私は基本的には2気室モデル不要派である。 ちなみに我が家には現在35リットル、45リットル、60リットル、90リットルの4つの小〜大型ザックがあるが、全てトップローディング1気室モデル。 前述の通り、さすがに90リットルモデルだけにはフロントローティングパネルがついているが、実際にはこの仕掛けの仕様頻度は極めて低い。 結局ただの1気室トップローディングモデルとして使っているのが現実だ。

 初心者の方がザックを初めて買うときは『2気室モデルがアクセス性に優れていて便利』などといわれると、つい不安も手伝ってそっちを選んでしまうものだが、別に1気室で不便だなんてことはないと思う。 シンプルで軽快な道具の方がむしろ使い勝手に優れる場合が多い。

 結局の所、『初心者には2気室がお薦め』っていうのは、本当は『初心者はパッキングが下手クソ』っていう意味で書かれているんだろうと思う。 『モノの取り出し』という意味のアクセス性よりも、そもそもパッキングが上手くいかないっていう事を問題にしているのだろう。 確かに1回目は上手くいかないかもしれない。 いや、きっと上手くいかないはずだ。 そんな方でも2気室モデルだと多少は上手くいくのかもしれない。 でもそんなものは3回4回やってりゃ誰でも自然に上手くなる。 別段心配するほどの事じゃない。 いとも簡単に習得できる技術を道具でカバーする必要はないと思うし、むしろ習得してしまう方が絶対に得策だと思う。

 ただし、例外はもちろんある。 一口にアウトドアといっても、目的、スタイルは千差万別。 行動中に多くの道具を必要とされる方もいらっしゃるだろう。 アクセス性とともに2気室に仕切る必要性をお持ちの方もいらっしゃるはずだ。 例えばカメラマンなどは好例だろう。
 さらにもう1つ例を挙げれば、アウトドアではなく長期放浪型バックパッキングに使用されるつもりの場合も話は別だ。 ここニュージーランドにも安宿を渡り歩く長期滞在バックパッカーはたくさんいる。 彼等のスタイルの場合、必ずしもアウトドアのようなミニマム装備で旅をするわけではなく、使用頻度の低い持ち物も少なからず持っていることだろう。 こういう場合はサイドまたはフロントローティングパネル、アクセスジッパーなどのアクセス性を高める仕組みは非常に有効だし、2気室に仕切る意義自体も出て来るだろう。 私自身は慣れているのでこういうスタイルで旅をする際も1気室トップローディングモデルでやってしまうが、最初からこのスタイルを想定して買うならば2気室でアクセスパネル、アウターポケットなどが豊富なモデルを考慮に入れるのはいいアイディアだと思う。

 さらについでにいえば、私は他人の好みにまでドーノコーノいうつもりも毛頭ない。 好きで2気室モデルを愛用してらっしゃる方は、もちろんそれでいいのである、そうでなくてはいけないのである。 そういう方は2気室モデルに適応したシステムを完成させてらっしゃるだろうから、1気室の方がいいですよなんて大きなお世話以外のナニモノでもないのだ。 私はそんなことは口が裂けてもいわない。

 私はただ、ご自身でまだきちんとした選択基準をお持ちでない方に対して「マニュアルに振り回されて1気室モデルを選択肢から外すと損ですよ」と申し上げたいだけだ。 選択肢は少ないよりは多い方がいいに決まっているから。 2気室モデル不要派ってのは、あくまでも私の好みの話だ。 モンベル派だのパタゴニア派だのっていうのと同レベルの話。

 要は自分の好みや使用目的をハッキリさせることだ。 ハッキリ言ってザック選びはべらぼうに難しい。 一番大切なのはフィット感だが、自分にフィットするモデルを探すだけでも大変なことだ。 使用目的がハッキリしてなければ、『1気室か2気室か?』とか『トップローディングかパネルローディングか?』とか『アウターポケットつきかなしか?』などで無限に選択肢が増えていってしまう。 使用目的がハッキリしてれば『55〜60リットル、1気室、トップローディング、サイドポケットつき』などと明快に絞り込める。 もちろん好みも無視出来ない。 機能に無関係な部分では好みも大切な選択肢だ。 絞り込めたあとは、そういうモデルを片っ端から背負ってみるだけだ。


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● 購入時の裏技

 別に裏技といっても安く手に入れる方法ではない。 私が実際にザックを買う際に取る方法だ。

 前項の最後で述べた通り、ザック選びはべらぼうに難しい。 どういうタイプのザックにするか絞り込むだけでも、実際には大変な作業だ。 それにも増して大変なのが、いくつかに絞り込んだ候補の中から本当に自分に一番フィットするモデルを探し出すことだ。 靴選びなんか目じゃないほど大変な作業なのだ。

 厄介なことにザックはちゃんと荷物が入ってないとフィット感がわからない。 しかも昨今のザックは日々進化しつづけるハーネスシステムを装備しているため、空っぽで背負えばどんなザックでも一応のフィット感は得られる。 これじゃ選びようがないといってもいい。 空っぽのザックを背負ってフィッティングし、
「こりゃいい!」
って買って来たザックに嬉々として荷物を詰め、いざ担ぎ上げた瞬間に
「こ、こんなはずでは・・・」
となった方は1999年の日本だけでも3,800人を下らなかったといわれており、世界全体では97,600人程度と推定されている。
 ↑ 真っ赤なウソ

 まぁ、冗談はともかく、空荷と満載ではまったくフィット感が違うのは当たり前だ。 残念なことに、ザック選び用にダミーの荷物(重り)を用意しているお店はほとんどない。 そこで自分でなんとかしなきゃいけない。 でなきゃ諦めてギャンブルするしかない。 ビンボーな私がギャンブルをするわけがない。 私がとる方法は次の2つ。

  1. 買うつもりのザックより少し小さめのザックに荷物を満載して担いでいく

  2. 同行者にザックに体重をかけてもらう

 1.の方がより実践的な方法だ。 やり方は簡単、目当てのザックに自分のザックを放り込んでしまうだけだ。 これなら見込み違いは起こりようがない。 ただし自分のザックはキレイにしておこう。 当然だ。 汚いなら新品のごみ袋でも用意していってそれに包んでから放り込もう。 さらにお店の人に一言断ることもお忘れなく。 マナーは守ろう。 それでもお店の人に嫌がられることがあるかもしれないが、もしそうならそんな店で買うことはない。 さっさと出てしまおう。 フィット感のいいザックを買おうと努力している客に協力出来ない店の売上を伸ばすことはない。 重い荷物を担いで次の店に行くのもいいトレーニングだと思えば苦にならない(こともないか・・・)。

 2.の方法は、小型ザックでは使いにくいかもしれない。 さらに、同行者にはいつも同じ位の体重をかけてもらわなきゃいけないし、やっぱり中に荷物が詰まってるのと外から体重をかけてもらったのでは多少ならずとも差が出て来る。 フィット感が空荷と満載時で違ってくるのは、中身の荷物に押されてハーネスの形が変わって来る事のも要因の1つだからだ。 外から体重をかけてもらったのではここのところが実際の使用時とは違ってくる。 さらに店員にとっての不愉快度は1.よりもこちらの方が高いような気がする(ま、これは人によるだろうが)。 だから、やっぱり1.の方がお薦めなんだが、荷物満載の一回り小さいザックを背負ってない時は仕方ない。 この方法でもやらないよりは100倍ましなのはいうまでもない。

 というわけで、1.の方法のほうが断然お薦めなんだが、この方法に問題があるとすれば、「実行できるかどうか?」だろう。 私はホントにこの方法をとるし、今までお店から文句を言われたこともない。 (誰だ?「その風体じゃ店員も怖くて文句言えないよ」って言ったのは?(^_^; ) あらかじめお店の人に一言断ればいいだけの話だ。
 しかし、実際には「そんなことできないよぉ・・・」とおっしゃる方も少なくないかもしれない。 そういう方は、このページをプリントアウトしてお店の人に見せてみてはいかがだろう? えっ?何?そもそも一回り小さいザックを持っていない? 友達に借りなさい。 えっ?中に入れていくアウトドア用品がない? ある程度の嵩と重さがあれば中身は何でもいいの!


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● 迷った時は

 再三申し上げるが、ザック選びはホントに難しい。 私も今までいくつ買ったのか分からん位に色々買いまくって来たが、次に買うザックがベストチョイスになるかどうかははなはだ自信がない。 たいてい最後に2つ候補が残って決めかねるもんだ。 一所懸命真面目に考えれば考えるほど、こういう事になりやすい。

なになに、『60〜65リットル、1気室、トップローディング、アウターポケットなし、アクセスパネルなし、デイジーチェーンだけのシンプルで軽いモデル』をお買いになる? なるほど、明確な選択基準をお持ちですね。 じゃまずカタログ集めて目星をつけなきゃ。 あ、その作業も終わってらっしゃる! なになに、実際にもう候補モデルを一通り背負ってもみた!? ウン、ところが、なになに、L社のモデルにするかO社のモデルにするかどうしても決まらない? 理由は? なるほど、フィット感はL社のモデルが一番良かったんだが、細かいディテールをみるとO社のモデルの方に細かく心憎い気配りあふれるアクセサリーがたくさんついてて捨てがたい? O社のフィット感もL社のヤツより若干落ちるものの決して悪いわけじゃなく、むしろ快適なレベルだ、というわけですか。 なぁるほどぉ。

 よくある話だ。 実際最後の2つで迷うっていう場合はほとんどがこのパターンじゃないかと思う。 こういう場合に無責任なアドバイスをするのは危険だ。 「気に入った」「ピンと来た」「コイツが私に『買って』って言ってる」っていうのも、モノ選びの大切な選択肢であることは事実だからだ。 彼の場合、頭ではL社のモデルがいいのは分かっていながらも、どうやらO社のモデルに『ピンと来ている』のである。

 だが危険を承知で敢えていうならば、よほどのことがない限り私だったらフィット感優先である。 細かい心憎いアクセサリーが購買意欲をくすぐるのはよぉ〜〜く分かる。 自慢じゃないが、私だっていっぱしのアウトドアグッズオタクだ。 そういうのにはすぐにくすぐられてしまう性質だ。 心憎い道具に呼ばれてフラフラと手に取るのは得意中の得意だ。 だから、ホントによぉ〜〜〜〜く分かるのである。 でも想像してみて欲しい、実際にそのザックを担いで山道を歩いているあなた自身を。 その心憎いアクセサリーが威力を発揮するのは、1日のうちで何度あるのだろうか? 延べ時間にしてどれくらいの時間役に立ってくれるのだろうか? そのアクセサリーがない場合、何か代りの手立てはないのだろうか? ないと致命的に困ってしまうのだろうか?

 フィット感はザックを担いでいる間ずっとついて回ることだ。 疲れれば疲れるほどフィット感の良し悪しは増幅されてくる。 疲労してくると心憎いアクセサリーよりも、よりフィットしたハーネスシステムが必ず恋しくなる。 その時あなたが背負っているのがL社のザックならば、「これ以上のハーネスはないんだから仕方ない」と諦めて頑張りが効くものだが、O社のザックを背負ってた日には「あぁ、なんでオレはL社のザックにしなかったんだぁ・・・」と悔やみつつ歩き続ける羽目になる。 こりゃ疲れている時には余計に辛い。 だから、フィット感を犠牲にしてまで選ぶ必要のあるアクセサリーかどうか、考えてみることだ。 背負っている間ずっと役に立ち続け、なおかつ疲労時にもフィット感以上に貢献してくれるアクセサリーかどうか? 断言は出来ないがフィット感に勝るアクセサリーはないと思う。 アクセサリーは知恵と工夫で補えるが、フィット感はもういかんともしようがないのだ。

ナニナニ、フィット感はD社のモデルが好きだったんだけど、G社の方が有名で流行ってるから迷ってるぅ??? G社は超一流ブランドだからこっち買っても間違いはないよねぇ、だとぉ??????

 勝手にしなさい・・・(-_-#;;;;;


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● 水洗い禁止

 心あるマニュアルには書いてあることも多いが、やはりあまり知られていないようなので一応書いておこう。 ザックはなるべく水洗いしないこと。 ザックの内側を見て欲しい。 防水コーティング処理してあるはずだ。 水洗いするとこれが剥がれやすくなってしまうらしいのだ。 つまり、寿命が縮むのだ。 かといって汚れ放題にしておくと、やっぱりファブリックが痛んで寿命が縮む。 難しい所だが、なるべくブラシで擦り落とす程度にしておき、それでダメなら濡れ雑巾で拭き取る程度にとどめておこう。


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● 小型ザック選びはかくも難しい

 アウトドアを始めようとする時、最初に30〜40リットル程度のザックを買おうとする方が多いのではないだろうか? このクラスなら日帰りトレッキングから温暖期なら山小屋利用の1泊トレッキングまでこなすことが出来る。 各社ラインナップも多く、非常にチョイスも多い。 アクセサリーの豊富なものからシンプルなものまで選り取り見取りだ。

 ところが、実際にはこのクラスが一番選ぶのが難しいので安易に考えてはいけないのだ。 ご存知の通り、現在のザックのハーネスシステムは、ザックの重量のほとんどをヒップベルトを使って骨盤で受けるような仕組みになっている。 ところがこのクラスの小型ザックの場合、背面長が短すぎて適切な位置でヒップベルトを締められないものが多いのだ。 特に身長の高い男性は要注意だ。 見た目はヒップベルトだが、実質的にはウェストベルトになってしまうというわけ。 ザック重量はすべて両肩に食い込んでくることになる。
(注:ここでいう『ヒップベルト』とは骨盤に荷重するためのベルト、『ウェストベルト』とはヘソ辺りで締めてザックが背中で暴れるのを防ぐベルトの事。 ブランドによっては前者を『ウェストベルト』と称しているが、ここではこの呼称で統一する)

 さらには見た目には雨ブタ付きトップローディングタイプでどうみてもインターナルフレームパックなのだが、実はフレームの入っていないソフトパックだったりすることもあるのがこのクラスの怖い所。 フレームが入っていなければ適切な位置でヒップベルトを締めても、やはり荷重は骨盤にはかかってくれない。 荷重は容赦なく肩にかかる。

 このようにチョイスが多い割に適切なフィット感が得られるザックは少ないという、非常に厄介なクラスなのだ。 小型ザックといえ、実際に荷物をバンバン詰めれば10kg程度にはなるだろう。 たかだか10kgといえども、フィットしないザックで2日間背負って歩くのは私はゴメンこうむりたいものだ。 ましてや初心者、入門者には堪えがたい拷問となるのは火を見るより明らか。 「35リットルのザックを買う!」のように、明確な選択基準を持って購入に向かうのは非常に正しい態度だが、このクラスの場合に限っていえば、満足なフィット感が得られない場合はスッパリと諦め、1つ上のクラスのザックを買い求めることをお薦めする。 ご心配は要らない、ザックの場合大は小を兼ねる。 やはりフィット感が一番大切なのだ。

 ちなみにこれは雨ブタ付きトップローディングタイプのインターナルフレームパックに限った話ではない。 30リットル前後の大型ティアドロップタイプのザック、いわゆるツーデイパックと言われているものにも全く同じことがいえる。 通常このタイプはフレームを持たないソフトパックが圧倒的に多い。 だからそもそも構造的にあまり重い荷物を背負えるようになっていないのだが、容量的には上記の小型ザックに匹敵してしまうため、10kgくらいは入ってしまう。 『ツーデイパック』という絶妙のネーミングも手伝って、1泊トレッキングに使おうという方も少なくないようだ。 先ほどヒップベルトの事を書いたが、まさしくデイパック、ツーデイパックのベルトは横ブレを防ぐ『ウェストベルト』に過ぎず、骨盤に荷重できる『ヒップベルト』とは仕組みが違うのだ。 一見便利そうにみえて、これまた非常に厄介なザックといえる。 元々大した荷物を入れる予定のないデイパックならいざ知らず、ちゃんと荷物を詰めてアウトドアに出かけるためにツーデイパックを買おうとしているのなら、ゆめゆめ買い急いではいけない。 じっくりと腰を据えて吟味しよう。
(それにしても『ツーデイパック』とは罪深いネーミングをしたもんだねぇ・・・>G社)

 個人的な意見を言わせていただくと、ある程度の重量の荷物を背負うつもりだったら、これらのザック類ではなく、45〜50リットルのしっかりフィッティングの出来るクラスを選んだ方がいいと思う。 ザックの自重自体も多少増加するが、それを補って余りあるフィッティングを得られるモデルが見つかるはずだ。

 先の2気室不要論とあわせて言えば、『初心者にはまず2気室の35〜40リットルのモデルがお薦め』などと書いてあるマニュアルを読むと、「あんた、ホントにそのクラスのザックを自腹切って買った事あるのか?」と突っ込みたくなってしまう。 初心者がそういうモデルの中から一発でベストチョイスを探し当てるのは至難の技ではないだろうか?

 ちなみに私自身も、このクラスのザックではいまだに「これだ!」というモデルを見つけていない。 アウトドアショップに行くたびに片っ端から背負ってみる癖があるので、すでに相当数(2桁では足りないほど)のザックを試しているが、どうしても『帯に短し、襷に長し』といったフィット感で満足がいかないのだ。





 ちなみにここまでさんざんフィット感が一番大事と言ってはきたものの、身も蓋もないことをはっきり言ってしまえば初めて買う時にはフィット感の良し悪しはよくわからないのではないかと思う。 生まれてこの方1度も靴をはいたことのない人が初めて靴を買おうって言う時、フィット感の良し悪しが分かろうはずもない。 ザックも同じだ。 だから最初の1個目を買う時は授業料と思って覚悟しておくってのが一番大切なことかもしれない・・・。 大丈夫、2つ目を買う時は『モノを見る目』ならぬ『ザックを見る背中』がしっかりと出来ているはずだから。


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