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第4回目はシュラフだ。 スリーピングバッグ、寝袋、人によっていいかたは様々だが、私自身は日本語をしゃべるときはなぜか「シュラフ」という事が多いような気がする。 もちろん英語で喋っている時は「sleeping bag」だが。 ま、それはさておきこのシュラフ、残念ながらその1で私が勝手に制定した『アウトドア・ギア三種の神器』には入っていないが、オーバーナイトでアウトドアをするとなると三種の神器に次ぐ重要なアイテムになることは間違いない。 というわけで、シュラフについても少々ちょっとした御託を並べてみよう。
● 袋詰 中綿がダウンと化繊の2種類があることは、もういうまでもない常識中の常識。 それぞれの主だった特徴も改めてご説明するまでもないだろう。 おわかりにならない方は、まず初歩的なマニュアルに目を通していただきたい。 ここで取り上げるのは最大の盲点である、袋詰の方法だ。 シュラフをスタッフバッグにしまうときはダウンバッグはグシャグシャに、化繊バッグは海苔巻状に巻いて突っ込むのが正しい。 特に注意が必要なのは化繊バッグの方だ。 化繊バックは通常グシャグシャにすると入らない。 空気を抜きつつ、キレイに海苔巻にしなくてはどうしても収まってくれないのだ。 いや、うまく収まらないだけだったら問題はない。 もっと大きな問題があるのだ。 化繊バッグの中綿の正体は、シート状に束ねてある超極細繊維の集合体だ。 ハイテク新素材は日進月歩だが、性能のいいものほど繊維は細くなる。 このシートを瓦を葺くように重ねてあるわけだ。 グシャグシャに突っ込むとこれらの超極細繊維が切れて、保温性が落ちるのである。 突っ込むたびにドンドン性能が落ちてしまったんじゃ堪ったもんではない。 それに対してダウンバッグの中身はそれぞれが独立したダウン(羽毛)だから、グシャグシャにしたって中綿が痛む心配は皆無というわけである。 むしろダウンバッグ付属のスタッフバッグはグシャグシャに突っ込むことを前提のサイズにしてあるので、下手に海苔巻にすると逆にうまく入らなかったりする。 ただし、ダウンバッグは必ずしもグシャグシャに突っ込まなきゃいけない、っていうわけではない。 その方が簡単だからお薦めするだけだ。 ダウンバッグでも海苔巻にこだわりたいならば、それはそれで一向に差し支えない。 これをお教えすると、「えっ!?」と言ったきり絶句する方が非常に多い。 永年シュラフを使っていたが、全然ご存知なかったのだ。 特に化繊シュラフを永年グシャグシャに突っ込みつつ愛用されていた方にはショックが大きいようだ。 何を隠そう、実は私自身もしばらくこのことを知らなかったので、愛用のダウンバッグをバカていねいに海苔巻にしてスタッフバッグにしまうという面倒なことを何年も続けていた。 なかなか上手く収まらず、毎朝テントの中で奮闘していたものだ。 グシャグシャでかまわないってことを知ったときは、やっぱり放心してしまったものだ。 おそらくこの海苔巻に費やした無駄な時間は合計すると2時間や3時間ではすまないはずだ(爆)
化繊バッグの場合は性能に関わる話だからスゴク大切なことなのに、この点に触れているマニュアルはなぜか非常に少ない。
ライター氏自身、化繊シュラフをグシャグシャに突っ込んでいらっしゃるのだろうか?
もしそうならお気の毒という他ない。
● 洗濯 化繊バッグの方は特に問題ない。 ザブッと洗ってパッと干してしまえばいい。問題はダウンバッグの方だ。
羽毛の洗濯は難しい。
やったことない方でも想像はつくはずだ。
だからマニュアルの類を見ると『羽毛の扱いになれたクリーニング屋に頼むのがいい』って書いてあったりする。
ま、無難な方法だろう。
だが、高い。
勢い ここで問題にしたいのは干し方だ。 マニュアルにはたいてい『陰干し』と書いてあるはずだ。 例えば今ちょうど手元にある、小学館発行の『BE-PAL』2000年3月号にもそういう記事がある。 お持ちの方は68ページを見ていただきたい。 これ、どうやら日向で干すと紫外線でシェルが痛むっていうのが元々の理由らしい。 ダウンが痛むというわけではないらしいのだ。 むしろ陰干しでいつまでも乾かないと、ダウンにカビが生えたりしてかえってダメージが大きくなったりする。 想像してみて欲しい。 真夏といえども陰干しではシュラフは1日では乾かない。 数日間乾き拗れた洗濯物が堪えがたい悪臭を放つのは万人の知るところ。 あの悪臭を放つ腐れシュラフの中に潜り込むなんて、私は真っ平ゴメン。 それだったら、まだ自分の汗臭いシュラフの方が100倍マシだ。 せっかく洗ったのにかえって使用に耐えないほどに悪臭がヒドクなったんじゃシャレにもならない。 というわけで、私は日向で一気に乾かす派だ。 ダウンジャケットを考えていただければいい。 ダウンのシュラフもダウンジャケットも形が少々違うだけで基本的には同じ作りのシロモノだ。 ダウンジャケットはお日様のもとで使うシロモノである。 じゃぁ、シュラフを陽に干して何が悪い? 乾かすあいだ日向に置いたくらいでは、シェルはそうそう痛みはしない。 同様の理由で、『キャンプで目覚めたら、晴れていればまずシュラフを干そう。ただし陰干しにすること。』と書いてあるマニュアルには、私は反対の立場である。 朝起きたら湿ったシュラフは陽の光でさっさと乾かしてしまい、さっさと取り込んでしまった方がいいと思う。
ちなみに先ほどの『BE-PAL』誌68ページには、『テント、タープも生地が劣化するから陰干し』というようなことを書いてある。
元々外で使うテントだのタープだのにいまさら『直射日光で劣化する』もないだろう。
そもそもテントやタープなんて、直射日光に当てればものの30分で乾くはずだ。
その程度干した程度で劣化するようなテントやタープが実用に耐えるはずがない。
申し訳ないがはっきり申し上げれば、何も考えずに伝聞で記事を書いていらっしゃるとしか思えない。
これだから、マニュアルの類を鵜呑みにするのは危険なのだ。
● シュラフカバーとシュラフライナー
マニュアル本の類を見ると『ゴアテックス製のシュラフカバーはダウンシュラフの防水性を高め、保温性を1ランクアップさせる便利アイテム』のように書いてある。
また、たいていは『夏季にはシュラフカバーだけで寝る事も可能』と添え書きしてある。
これを見て ところがお店に走る前にちょっと待って欲しい。 ゴアテックス製のシュラフカバーってのは決して安いシロモノではないし、結構嵩張って重い。 そんなに気軽なアイテムじゃないのだ。 ちなみにゴアテックス製じゃない安物のシュラフカバーってのは安物買いの銭失いの見本だからお薦めできない。 だから、買う前にもう1回よく考えてみて欲しい。 もしあなたが心惹かれたポイントが『保温性アップ』と『夏季のシュラフ替わり』だけだとすれば、高価で嵩張って重いゴアテックス製シュラフカバーは不要だと思う。 もう少し詳しく説明しよう。 私なりにゴアテックス製シュラフカバー(面倒なので以下単に『シュラフカバー』)の機能を挙げるとすれば、
の1点である。要はダウンシュラフ用の雨具だ。 これを実際のフィールド条件に当てはめれば、『濡れたり風に吹かれたりする場合』と『テント内の気温が氷点下を遥かに下回る場合』の2つになると思う。 こういう状況が想定される時、シュラフカバーはなくてはならない必携アイテムとなる。 逆にこんなに条件が厳しくないときは、重くて嵩張る『お荷物』になる可能性が高い。 そういう『諸刃の刃』アイテムなのだ。 保温性が多少アップするのは確かだし、夏季に単体使用できるのも間違いない。 しかしそれはあくまでも副次的な効果、使用方法に過ぎない。 持っている人が「せっかく持ってるんだから」というわけでそういう使い方を考えるのならうなずけるが、わざわざそれだけを目的に購入するのは明らかにミスチョイスだ。 雪道もジャリ道も走らず、車中泊もしないのに高い金出して4WD&フルフラットシート仕様の車を選ぶようなもんだ、なんて言ったらお叱りをうけるか・・・(^_^; ま、車の例はともかく、『保温性』だの『夏季のシュラフ替わり』などを目的にするんだったら、もっといい専用の道具がある。 その点に付いては後述しよう。 ちなみにテント内が氷点下になるとなぜシュラフカバーが必要になるのか簡単に解説しておこう。 テント内が氷点下に下がる状況の場合、人間の身体から発散される蒸気がテント地に触れて凍り付き、テントの内側が霜に覆われる。 それが風などのちょっとした振動で雪のようにシュラフの上に降り注ぎ、体温で解けてシュラフを濡らす。 つまり、テント内が氷点下になると、テント内で雪が降るのだ。 まさに『濡れる状況』である。 こりゃまさしく、シュラフカバーの出番。 もちろん、こういう状況だったら『シュラフカバー自体の保温力』もバカに出来ない。 つまりこういう事だ。 シュラフだと話がややこしいので、ダウンジャケットに置き換えて話をしてみよう。 皆さんがどういう格好でシュラフに潜り込むのかは存じ上げないが、私の場合はたいていサーマルアンダーだけで潜り込むので、それを元に話をする。 サーマルアンダーの上にダウンジャケットだけを着ているとする。 しかし少々寒いので、もう1つアイテムを買い足そうと思っている。 何を買うか? これは「なぜ寒いのか?」によって2つのチョイスがある。
というわけである。 おわかりいただけただろうか? シュラフの場合もこれとまったく同じ事なのだ。 じゃ、保温性を上げる専用道具の方に話を移そう。 シュラフライナーという便利な道具がある。 要はシュラフ用のシーツだ。 基本的な機能は『シュラフ本体の汚れ防止』だが、『保温性アップ機能』を強化したものまでいろいろなチョイスがある。 素材は木綿、絹、フリースなどの起毛ポリエステルなど、お店にいけば色々選り取り見取りだ。 一番嵩張って重いフリース製だって、シュラフカバーよりはずっと安いし、たぶん軽量かつコンパクトだろう。 要はシュラフの中に突っ込む袋状のシーツなんだから自分で気に入った布地を縫い合わせて自作するのだって簡単だ。 前述の通り、基本機能が『シュラフ本体の汚れ防止』であるので、これはそもそも必携基本アイテムの1つなのだ。 もちろん『夏季にシュラフ替わりに使用』する目的にも適う。 ま、夏季だったら雨具を体にかけただけだって眠れたりするもんだが。 というわけで、「早まってシュラフカバーに手を出さず、とりあえずシュラフライナーを検討してみよう」という事を長々と述べてきた。 もちろんシュラフカバーが不要だといっているわけではないし、すでに持ってらっしゃる方をどうこういうつもりももちろんない。 本当に必要な状況では、前述の通りコイツなしでは堪えられないほどに頼もしい道具なのだ。 アウトドアの場合、この『安心感』に金を払うことにも意味があるのは確かだ。 ただ、コイツは世間一般で言われているような万人向けの一般的な道具ではなく、本当は相当に過酷な状況でしか威力を発揮しないマニアックな道具だと思うのだ。 少なくとも「これからアウトドアを始めよう」という方が、最初から揃える道具のリストに入れる必要はないと思う。
ちなみに私自身ももちろん持ってはいるのだが、出番は思った以上に少ない。
少なくともニュージーランドに来てからはまだ1度も使用していない。
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